豚肉輸出量は日本向けを中心に好調(メキシコ)
メキシコ連邦政府農牧農村開発漁業食糧省(SAGARPA)によると、2016年の豚肉生産量は、前年比4.1%増の137万6000トンとなった(表1)。米国農務省(USDA)は、増産要因について、豚飼養頭数の増加によりと畜頭数が増加していることに加え、遺伝的改良による飼料効率の上昇を挙げている。
州別に見ると、ハリスコ州が前年比10.7%増の28万5000トン、次いで多いソノラ州が同3.9%増の23万8000トン、プエブラ州が同0.9%増の16万3000トン、ユカタン州が同9.1%増の13万4000トンとなった(表2)。
同年の豚肉輸出量は、前年比8.2%増の10万5000トンとなった(表3)。輸出先国別に見ると、全体の76%を占める日本向けは同2.5%増の8万トンとなり、以下、韓国向けは同48.4%増の1万4000トン、米国向けは同8.6%増の1万トンといずれも前年を上回った。USDAは、近年、食肉加工施設での厳格な衛生管理などによって、高品質な豚肉製品の輸出が増加しており、特に日本を中心としたアジアからのオーダーメイドの注文による需要が高まっているとしている。
最大の養豚企業が生産能力の大幅拡大へ
メキシコ最大の養豚企業であるグランハ・カロル社は3月23日、5億5000万米ドルの投資により、繁殖雌豚頭数を倍増させる計画を公表した。この計画によると、同社の繁殖雌豚頭数は、2021年に13万7000頭となり、と畜施設へ9400万米ドルを投資することで、1時間当たりのと畜能力を600頭に拡大させる予定である。投資の目的について同社は、北米自由貿易協定(NAFTA)の今後の動向が不透明なため、輸出入の双方で新規市場に目を向けざるを得なくなったことを挙げている。一方、人口が増加し豚肉需要が伸びているメキシコは、現状では米国からの輸入に大きく依存しているが、国内生産を拡大して輸入品と置き換える「非常に大きな機会」であるとしている。
【渡邊 陽介 平成29年3月30日発】
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