タイ研究機関、キャッサバ由来バイオ燃料の低コスト化に成功
最終更新日:2017年3月31日
現地報道(バンコク・ポスト)によると、タイの研究機関であるタイ科学技術研究所(Thailand Institute of Scientific and Technological Research:TISTR)は、これまでより低コストでキャッサバからバイオ燃料を製造する技術を開発したと発表した。
特定の酵母を利用することで、低コスト化を実現
これまで、キャッサバを原料としたバイオ燃料の製造は、糖みつを原料とした場合に比べ製造コストが高く、原料がタイ国内に豊富にありながら、実用性はそれほど高くないとされてきた。しかしながら今般、TISTRは、18カ月に及ぶ研究の末、特定の「出芽酵母(Saccharomyces Cerevisiae)」の一種を利用することで、糖みつを利用した場合と同等のコストと品質のバイオ燃料の製造に成功した。これを受け、タイ代替エネルギー開発・効率局(Department of Alternative Energy Development and Efficiency:DEDE)は、「大変興奮している。本研究の成功は、単にバイオ燃料の原料選択肢を広げたのみならず、生産過剰でキャッサバ価格が下落した際、生産者の負担を軽減することにつながるものである。」としている。
さらに、TISTRは、選択肢をさらに広げるため、今回とは別の酵母を利用して、同等以上のバイオ燃料を製造することを今後の目標としている。また、TISTRは、バイオ産業全般の生産性向上のための研究も進めている。こうした研究は、DEDEから支援を受けているが、DEDEは、エタノール製造企業からの出資も呼びかけている。DEDEは「出資は受けられると前向きにとらえている。本研究開発は、エタノール工場の生産性と効率性の向上につながるものである。」としている。
今後もバイオ燃料の製造開発を重視
DEDEは、2014年以降の原油価格の下落により、再生可能エネルギーへの需要は当初の予想より鈍化しているものの、再生可能エネルギーに関する研究開発計画を今後も継続する予定である。
タイの2016年のエタノール生産量は、1日当たり470万リットルであるが、その製造企業のうち3分の1は、キャッサバを原料とし、3分の2はサトウキビを原料としている。こうした中、「タイ国代替エネルギー開発計画2015」では、エタノール消費量の目標を2022年に1日当たり900万リットル、2036年には同1130万リットルとしている。
【根本 悠 平成29年3月31日発】
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