サンパウロ州政府は4月1日、食肉に対する商品・サービス流通税(ICMS(参考))の課税を再開した。これにより、同州の食肉(牛肉、豚肉、鶏肉など)に対して、生産(と畜・加工)部門で4%、小売部門で11%のICMSが課されることになる。同州の財政当局は、2009年9月1日以降免除していたICMSの再開は、税収の落ち込みに歯止めをかけ、結果的に経済活動を刺激するとしている。
サンパウロ州スーパーマーケット協会(Apas)などは、食肉小売価格は4月以降少なくとも1割程度値上がりすると試算しており、さらなる値上がりの可能性も指摘されている。
ブラジル経済は2015〜2016年に2年連続のマイナス成長を記録し、これによって食肉消費も大きく落ち込んだ。2017年はわずかなプラス成長が見込まれているものの、3月に発生した食肉不正問題や今回のICMSの再開で食肉需要が減退する可能性があり、食肉業界から懸念の声が上がっている。
なお、サンパウロ州で食肉に対するICMSが免除とされてきた背景には、同州の食肉が他州と比べて生産や管理等に要するコストが高いことがある。生産された食肉は州内や外国で消費されることが多いため、他州との競争をゆがめるものではないと判断されていたとみられる。
ブラジルは税制が非常に複雑で、外国資本が投資を行う際のネガティブな要素に挙げられているが、今回の課税再開の影響が注視されている。
(参考)ICMS…商品やサービスの流通に賦課される州税で、各州において産業ごとに税率が定められており、食肉に関する課税も一般的である。現地情報サイトによると、サンパウロ州のICMSは、7〜25%の範囲で設定されており、食料品などの生活必需品は7%にとどまるものの、タバコやアルコールなどの嗜好品は25%が課されている。なお、輸入品が国内の州をまたいだ取引も課税の対象となっており、移出州側の税率は、2013年1月から原則として4%に統一されている。