2017年の大豆作付面積は過去最高に(米国)
米国農務省全国統計局(USDA/NASS)は2017年3月31日、2017作物年度におけるトウモロコシや大豆を含む主要作物などの作付意向調査の結果を公表した。本調査は、3月第1〜2週の間に全米の農家から無作為に抽出された約8万3300戸の経営体を対象に実施した聞き取り調査である。データはメール、インターネット、電話、面談を通じて集められ、これらの情報を基に作付面積が推計され、毎年3月末に公表されている。
家畜飼料の生産に強く関係し、互いに表裏一体の関係にあるトウモロコシと大豆の2017年度の作付面積については、2月に開催されたUSDAアウトルック会議で「トウモロコシ減、大豆増」との予測が示され、市場の事前予想も概ね同様であったが、大豆の増加の程度などに注目が集まっていた。
今回公表された作付面積は、表1の通りである。直近10年では、トウモロコシの作付面積が、大豆の作付面積を大きく上回って推移したが、今回の結果は、両者の数字が近接したものとなった(図)。
トウモロコシについては、前年度比4.3%減(400万エーカー減)の約9000万エーカーであり、アウトルック会議の予測とほぼ同じ数値、市場予想レンジのほぼ下限という結果となった。これは、アウトルック会議でも説明があったとおり、同年度におけるトウモロコシの収益性が、他の作物、特に大豆と比較してより低いと見込まれているからである。なお、予測を実施した48州のうち38州で減少または前年度並みと見込まれており、全米の生産量の過半を占める生産上位4州(アイオワ州、イリノイ州、ネブラスカ州、ミネソタ州)も総じて減少する見込みである。
大豆については、前年度比7.2%増(600万エーカー増)の8950万エーカーであり、アウトルック会議での予測および市場予想の上限を上回り、史上最大の数字となった。なお、予測を実施した31州のうち27州で増加または前年度並みと見込まれている。500万エーカー以上の作付が見込まれる10州では、カンザス州で前年度比23.5%の大幅な増加が見込まれるほか、ネブラスカ州、ノースダコタ州といったトウモロコシの主産地も同10%以上とかなりの増加が見込まれ、コーンベルト西部での増加が顕著となった。
また、USDA/NASSより同日、3月1日時点の穀物の在庫状況も公表された(表2)。トウモロコシの在庫量は、前年比10.2%増の86億1600万ブッシェルとなり、前回調査時の2016年12月1日時点から37億7000万ブッシェル減となり、四半期の減少量としては過去最高となったものの、3月1日時点の在庫量としては、過去最高を記録した。なお、このうち、農場内在庫は前年比13.2%増の49億800万ブッシェルとなった。
一方、大豆の在庫量は、前年比13.3%増の17億3500万ブッシェルとなり、2016年12月1日時点から11億6000万ブッシェル減となった。このうち、農場内在庫は前年比8.1%減の6億6900万ブッシェルとなった。
なお、イリノイ大学の報告によると、大豆とトウモロコシの収益性の指標となる大豆・トウモロコシ比価(注)は4月3日時点で「2.44」であり、本調査開始前の3月1日付の比価であった「2.57」より低下した。作付け時の天候にも左右されるものの、今後、比価がさらに低下した場合、USDAの予想以上にトウモロコシが作付される可能性もあるとしており、6月に公表される作付面積は注目される。
(注)大豆・トウモロコシ比価=大豆先物価格の農家販売価格換算/トウモロコシ先物価格の農家販売価格換算
【調査情報部 平成29年4月6日発】
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