現地報道によると、ブラジルの下院議会は、外国資本の農地取得を規制する法令を改正し、現状の上限面積を引き上げるための審議を進めている。テーメル政権は、規制緩和による外資の国内投資の拡大を目指しているが、土地取得の要件については、外資の取得に否定的だった前政権の時代から長年の間議論がなされてきた経緯もあり、今後、議会での審議が過熱するとみられている。
外国籍の個人や外国企業(資本や株式の過半数を外国資本が有している企業をいう)の農地所有は、1971年10月7日付法令5709号に基づき、一定の要件が定められている。
具体的には、外国人や外国企業が農業または牧畜を行う目的で農地を取得する場合、あらかじめ農牧食料供給省や商工サービス省の認可を受ける必要があるとされる。また、自治体によって差はあるものの、取得可能面積は外国籍の個人の場合250〜5000ヘクタール、外国企業の場合500〜1万ヘクタールに制限されている。
現地報道によると、審議されている改正案では、取得可能面積を最大で10万ヘクタールに拡大し、短期的に約500億レアル(1兆8000億円)の投資が新たに見込まれるとしている。
政府は2000年代に入ってから、中国や米国資本などによる農地の取得が進んだことを受け、外国籍の個人や外国企業による農地購入の監視体制を強化していることから、今後の審議の行方に注目が集まっている。