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欧州委員会、生乳出荷削減奨励事業の最終結果を公表(EU)

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 欧州委員会は4月6日、生乳出荷削減奨励事業の2回目の対象期間(2016年11月〜2017年1月)における事業実績と合わせて同事業の最終結果を公表した。
 
 生乳出荷削減奨励事業は、供給過多にある生乳の需給を引き締め、低迷する生産者乳価の回復を期して、減産した生乳1キログラム当たり14セント(16.8円)の奨励金を交付するもので、第1回目は2016年10月〜12月の対象期間に前年同期比で生乳出荷量を85万1700トン削減させた。続いて2回目の対象期間においては9200トンを削減し、この結果、107万トンの計画に対して計86万トン(80.4%)の実績となった。
 なお、奨励金の単価は加盟国独自に加算することができ、同事業を実施した27カ国のうち18カ国で上乗せされた。
生乳出荷削減奨励事業の最終結果
 欧州委員会は、2017年3月の生乳取引価格は、1キログラム当たり33.4セント(40.1円)と昨年7月の底値から30.2%上昇し、生乳の需給バランスは回復しつつあるとして、この事業が奏功したとしている。
 ただし、生乳取引価格は、2016年12月以降は、ほぼ横ばいで推移している。これは脱脂粉乳の卸売価格が低迷する中、緊急支援策として介入買入れされた35万トンの公的在庫が重しになっているためと言われている。 
生乳取引価格
 欧州委員会は昨年12月、低迷していた脱脂粉乳の価格に回復の兆しが見られたことから、公的在庫の一部(6.3%)となる2万2000トンの在庫を放出することとした。12月13日に行われた売渡入札では40トンの落札があったものの、その後1月から3月にかけて実施された6回の入札では全量が不落となった。直近の3月21日に行われた入札の応札率は2%にも届いていない。
脱脂粉乳の価格
 欧州委員会は、公的在庫に対する需要が弱いことから脱脂粉乳の売渡入札を月2回から月1回に変更し、次回の売渡入札は4月18日に実施すると発表した。
 脱脂粉乳の卸売価格が再び公的買入価格近くにまで下落し、3月末には半年ぶりとなる介入買入れ(ポーランドで実施(472トン))が行われる中、欧州委員会のかじ取りが注目される。
【調査情報部 平成29年4月13日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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