現地報道によると、2016/17年度(10月〜翌9月)の大豆・トウモロコシ生産について、過去最高の豊作が見込まれる中、マットグロッソ州に次ぐ第2位の穀物生産州であるパラナ州では、豊作に伴う貯蔵能力の不足懸念が生じている。
同州では2016/17年度に、近年同国で発生が続いたエルニーニョ現象やラニーニャ現象も発生せず、適度な降雨を記録した。このため、大豆、第1期作トウモロコシともに例年を上回る生産量が確実視されており、第2期作トウモロコシも大幅な増産が見込まれている(表)。
こうした中、穀物生産者は高単収に安堵した反面、相場の低下で収穫した大豆などの販売を控える傾向が強まっており、その結果、貯蔵能力が足りない状況が生じている(図)。同州のサン・セバスチアン・ダ・アモレイラ市を代表する大規模穀物生産農家の一人は、「相場が年明け以降下がり続けていることから、現時点では大豆の販売をストップさせている。今期の大豆は30%程度しか販売しておらず、多くは、売らずに保有している状況だ」と述べている。
ブラジルの穀物生産者は、米国でトウモロコシの播種が始まる4月以降の相場、いわゆる「天候相場」を見極めながら、売りを進めていくものとみられている。現在、シカゴ商品取引所(CBOT)の大豆・トウモロコシ相場は低調に推移しているが、現地報道によると、今後も相場が上向かず、現在の売り控えの状況が長引いた場合、第2期作トウモロコシの収穫も始まる5〜6月には、貯蔵や輸送の問題が生じる可能性が懸念されている。
なお、現在のところ特段問題視されてはいないが、マットグロッソ州などでも記録的な豊作により、今後、同様の保管能力不足が生じる可能性がある。ブラジル政府は、過去の豊作時の経験を踏まえ、穀物サイロの建設に要する融資の利子助成を行うなどして保管能力の拡大に努めてきたものの、飛躍的な増産スピードに追いついていないのが現状である。