ロシア、EU産豚肉製品の禁輸一部解除へ
4月20日付けの現地報道によると、ロシアは、同国が講じている欧州連合(EU)の生体豚や豚肉製品の禁輸措置を協定違反とする世界貿易機関(WTO)の裁定結果に従うことに同意した。
ロシアは、4月19日に開催されたWTOの上級委員会の会合で、WTO加盟国の責務として上級委員会の勧告と裁定に従うつもりはあると述べた。ただし、それには一定の期間を要するとし、その期間についてはEU側と交渉する用意があるとした。一方、EUは、ロシアが裁定結果を早期に完全に実施するよう期待していると述べ、ロシアに対して安全なEU産品の輸入を直ちに認めるよう促した。
今回、解除に向けて動きのあった禁輸措置は、2014年初旬にポーランドなどで発生したアフリカ豚コレラに由来するものであり、同年8月6日にロシアが講じた政治的な意図による欧米諸国の農畜産物の禁輸措置とは異なる。このため、禁輸が解除されたとしても、EUからロシアへの輸出量の多かった豚肉は引き続き禁輸が継続され、実際に解禁となるのは生体豚や内臓肉や豚脂となる。とはいえ、主要な豚肉製品の一部が3年ぶりに禁輸解除になる見込みが強まったことから、EU側の今後のロシアの動向に対する注目は高まっている。
【大内田 一弘 平成29年4月21日発】
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