畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 海外情報 > 2017年 > OECD、温室効果ガス排出削減を呼びかけ(NZ)

OECD、温室効果ガス排出削減を呼びかけ(NZ)

印刷ページ
 欧州を中心に、日本を含む世界35カ国が加盟している経済協力開発機構(OECD)は、毎年、加盟国のうちいくつかの国における環境政策や動向について、報告書をまとめている。3月21日、同報告書の中でニュージーランド(NZ)が取り上げられ、酪農を中心とした集約的な1次産業による温室効果ガス(Green House Gas、以下「GHG」)の排出が突出しているとして、環境に配慮した政策の実施が提言された。NZが取り上げられたのは3回目。
 報告書によると、NZは、電力生産の8割余りを、水力や地熱といった再生可能なエネルギーに依拠しているにもかかわらず、人口1人当たりGHG排出量はOECD加盟国第5位(1990年比で23%増)、国内生産額当たりではエストニアに次ぐ第2位となっている。農業由来のGHGの割合が約5割と非常に高いのも特徴で(OECD加盟国の平均は1割以下)、土壌や水中の窒素含有量についても、2000年代以降に酪農地面積が拡大したことなどを受け、直近10年間で、OECD加盟国の中で最も増加したとしている。
 報告書では、GHG排出削減による低炭素社会の実現に加え、産業用水に対する規制の強化や、急速な都市開発の抑制といった提言が示されている。
 また、同時期に発表された民間コンサルタントの試算によると、GHG排出量抑制のためには、家畜飼養頭数を3分の1程度減らす必要があり、今後、生産効率の向上や環境税の導入といった対応が求められるとしている。現地報道によると、この試算に対し、酪農家団体であるDairy NZは、1頭当たり搾乳量の増加などを通じて、環境負荷の軽減に前向きに取り組みたいとしている。
 
【竹谷 亮佑 平成29年4月24日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-9532