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違法畜舎の適法化に向け生産者団体が支援(韓国)

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 韓国農協中央会(以下「中央会」という)傘下の農協経済持株会社は4月14日、大韓建築士協会と業務提携協約を締結した。

 韓国では2015年3月、家畜ふん尿の管理及び利用に関する法律(注)(以下「家畜法」という)の改正により、無許可や申告違反など違法な畜舎を保有する畜産農家は、保有する総畜舎面積の規模に応じた期限までに、当該違法畜舎を適法化させなければならないこととなった(表)。しかし、政府が2016年5〜9月に実施した調査によると、畜産農家12万6000戸のうち6万190戸は依然として、違法な状況であり、最も多い違反理由が建ぺい率であることが判明していた。

 今回の業務協約により、畜産農協と建築士の業務協力について中央会が支援できるようになるため、法令で求められている違法畜舎の適法化が加速化すると期待されている。しかし、現地の酪農専門家は、水源の近くにしたり、許可より大きく建設するなどした場合、畜舎撤去など追加投資が求められることから、後継者がいない酪農家などは廃業に追い込まれると危惧している。
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(注) 
 韓国では、家畜法において、し尿処理槽の容量などが規定され、これらに違反した畜産農家は、当該畜舎を閉鎖しなければならない。建築法おいては、畜舎の建ぺい率や増築などに関することが規定されている。
 ところが、外資企業の進出などによりインテグレーションが進展したため、収益確保のためコスト削減に迫られた養鶏、養豚農家が無許可で畜舎を増築するケースが増えるなど、2011年ころから、違法な畜舎が多数存在することが明らかになっていた。
【青沼悠平 平成29年4月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:青沼悠平)
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