5月1日付け現地報道によると、ニュージーランド(NZ)で第2位の集乳シェア(約7%)を持つ乳業メーカーのオープン・カントリー・デーリー社は、2017/18年度(6月〜翌5月)の生産者乳価の支払見込みを、乳固形分1キログラム当たり6.25〜6.55NZドル(500〜524円:1NZドル=80円)に設定すると発表した。今年度(16/17年度)の同5.70〜6.00NZドル(456〜480円)よりも1割近く高い設定となる。
乳価設定を引き上げた要因として同社は、国際的な乳製品需給バランスの回復に伴う、直近数カ月における乳製品国際価格の上昇を挙げている。現地報道は、多くの酪農家は今回の乳価設定を好意的に捉えており、2017/18年度の増産意欲の回復につながるとしている。
なお、同社は現在、北島に2カ所、南島に1カ所の乳業工場を有しているが、北島の酪農主産地である、ワイカト地方のHorotiuに、新工場を建設すると発表した。製造品目や処理能力といった詳細は明らかにされていないが、2018年初頭の稼働を目指すとしている。
現地専門家は、同社の乳価設定は比較的高めではあるものの、フォンテラ社(例年5月20日頃発表)をはじめとした他の乳業メーカーも、概ね同水準で追随すると見ているほか、オランダの農業系金融機関であるラボバンク社も同様に、全粉乳やバターを中心とした国際市況の回復傾向を踏まえ、各社とも同6.30NZドル(504円)程度となるとの見解を示している。
また、豪州で第2位の集乳シェア(1割程度)を持つ豪州フォンテラ社は5月10日、2017/18年度(7月〜翌6月)の生産者乳価の支払見込みを、乳固形分1キログラム当たり5.30〜5.70豪ドル(456〜490円:1豪ドル=86円)に設定すると発表した。今年度の同5.20豪ドル(447円)より若干高めの設定となるが、同社は、プロダクトミックスの調整が奏功したことに加え、乳製品の国際需給バランスの改善をその理由として挙げている。
生産能力増強のための投資を進めてきた同社は、競合他社に生乳を供給している酪農家からも新たに集乳を獲得するため、4000〜5000万豪ドル(34〜43億円)を投じて、同40豪セント(34円)の「ボーナス」を支払うとしており、集乳競争の動向も注目される。