デンマーク統計局は5月8日、2017年4月1日現在の豚飼養頭数を発表した。これによると、総飼養頭数は、前年比0.4%減の1237万頭となり、6年ぶりに減少となった前年(同0.5%減)に続き減少となった。
内訳を見ると、肥育豚が同8.1%減(276万頭)となり、前年(同1.5%減)よりもさらに減少率が高まった。これは、ドイツやポーランドへの子豚の生体輸出が増加していることが背景にある。肥育豚への出荷奨励金の支給などが講じられているが、減少傾向に歯止めがかからず、世界最大級の豚肉輸出国である同国の生産能力の低下を招いている。
一方、繁殖豚は全体で同1.0%増(125万頭)、初生子豚は同1.9%増(252万頭)と、いずれも増加に転じた。これは、ロシアの禁輸の影響などにより長年低迷していた豚肉価格が、中国への輸出増などにより2016年春から上昇し、養豚経営の収益性が向上したことなどが背景にあるとみられている。
このような中、同国の豚肉生産の9割を占め、世界最大の豚肉輸出企業の一つであるデニッシュクラウン社は5月2日、供給量を確保するため、同社に肥育豚を出荷する生産者への奨励金単価を増額するなどの支援を決定した。
同社の取り組みは、同国の子豚生産が再び増加傾向にある中、子豚の流出を食い止め、国内豚肉生産の増加を促すものとして期待されている。