収入については、1999/00年度以降の最低水準となり、前年度比28.3%減となった。生乳販売収入の減少について、生乳生産量は、春先の寒冷な気候による牧草の生育不良があったものの、同1.5%減とわずかな減少にとどまっており、国際相場の下落を受けた乳価引き下げが主な要因であるとみられる。一方、家畜販売収入については、引き続き好調な牛肉相場を受け、乳牛の淘汰が進み、3年度連続で増加した
(注1)。
支出については、同8.0%減と、収入減を反映して減少した。内訳を見ると、飼料が同22.0%減、修繕が同31.2%減と、削減可能なコストから削減を図った様子がうかがえる。一方、雇用労働については前年度を上回った
(注2)。
この結果、収入から支出を差し引いた収支では、1頭当たり160円の赤字となった。ただし、地域別に見ると、北島主産地のワイカト地方では1ヘクタール当たり約2万円超の黒字となったのに対し、南島のサウスランド地方では同2万円超の赤字となるなど、ばらつきが見られている。
現地専門家によると、これについて、3つの要因が背景にあるとしている。
- 南島の酪農家は新規参入者が多く、北島に比べると導入コストの後年度負担を負債として抱えている者が多い。
- 南島の酪農家経営は比較的大規模ではあるものの、人口(働き手)が少ないため、従業員確保のための雇用労働費が嵩むことが多い。
- 特に2015/16年度は、北島ワイカト周辺では十分な降雨があった一方、南島では少雨となり、かんがい用水の利用が増加した。
(注1:直近の趨勢)
- 2016/17年度(10月〜翌9月)については、NZの肉牛生産団体であるビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)は、生産者支払乳価の上昇などにより乳牛淘汰が抑制されると見込んでいる。
(注2:乳価安への対応)
- 乳価安への対応については、こちらを参照。
- 「最近の乳価安に対するNZ酪農・乳業界の対応」 『畜産の情報』2017年2月号