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豪州政府、生体輸出業界のアニマル・ウェルフェア向上の取り組みを支援

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 バーナービー・ジョイス副首相兼豪州農業・水資源相は5月12日、生体輸出業界によるアニマル・ウェルフェアと効率性の向上を目的とした家畜グローバル保証プログラム(Livestock Global Assurance Program。以下「LGAP」という)の導入を支援するため、830万豪ドル(7億1380万円:1豪ドル86円)を2017/18年度予算に盛り込んだことを公表した。当該予算は、今後4年間にわたり活用される予定である。
 これまで家畜の生体輸出については、2011年に政府が導入した、輸出業者サプライチェーン保証プログラム(Exporter Supply Chain Assurance System。以下「ESCAS」という)に基づき、政府が監査・監督を行ってきた。ジョイス大臣は、ESCASはアニマル・ウェルフェアを大幅に向上させることはできたが、その一方で、輸出業者にとって事務的・金銭的な負担が障害となっており、その金額は政府と輸出業界あわせて年間1760万豪ドル(15億1360万円)程度になっているとしている。
 このため、生体輸出業界は、2014年ころから課徴金や政府からの拠出金を財源に、豪州の輸出業者だけでなく、輸出先国の輸入業者、フィードロットや食肉処理場などサプライチェーンの関係者の全てがアニマル・ウェルフェアに関して責任を負うLGAPを開発してきた。LGAPは、2016年にはパブリックコメントや試験調査が実施され、今後は本格的な導入に向けて関係業界の合意を得ていくことになる。
 ESCASが輸出業者に対してサプライチェーン全般におけるアニマル・ウェルフェアの確保を求めていたため、輸出先国のフィードロットや食肉処理場において、アニマル・ウェルフェアに反する事例が今もなおみられることを受け、LGAPは、豪州国内の輸出業者だけでなく、輸出先国の輸入業者、フィードロット、食肉処理場などそれぞれの施設ごとに認証することで、サプライチェーンにおけるそれぞれの施設が責任を負うこととしている。また、監査については、ESCASでは豪州政府が行っていたのに対し、LGAPでは、それぞれの施設が内部監査を実施する上で、政府から独立した第3者機関が行う。これにより、輸出業者の事務手続きが軽減されることに加え、民間の第3者機関が監査を実施することで、効率的な輸出ができるようになるとしている。ただし、LGAPは業界主導の任意加入の制度であり、LGAPが導入されてもESCASに基づく輸出業者への政府の監督や罰則は残るとしている。
 ジョイス大臣は、豪州は、100カ国以上に家畜を生体輸出する世界でも主要な家畜輸出国となっている。また、家畜の生体輸出は18億豪ドル(1548億円)の価値があり、1万人を雇用する重要な産業となっているとしている。
 政府は、LGAPは、輸出業者の負担を軽減するとともに、家畜生体輸出の独立性、統一性、透明性および説明責任の向上を図るとしている。
 
【大塚 健太郎 平成29年5月17日発】
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