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家きん肉業界、中国産調理済み家きん肉輸入再開に向けた動きを歓迎(米国)

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 5月11日に明らかになった米中間の貿易交渉における「100日計画」では、中国の米国産牛肉輸入再開に加え、米国の中国産調理済み家きん肉の輸入再開に関する言及があった。このことに関して、米国の家きん肉業界から好意的な意見が相次いでいる。
 
 同計画で示された10項目のうち、本件については牛肉に続く2番目の項目として、以下の通り述べられている。
 
『米国と中国は、米国による、原産地を中国とする調理済み家きん肉の輸入という未解決の問題を出来る限り早く解決する。また、合意に至った後には、米国は規則案を遅くとも2017年7月16日までに公表するとともに、米国は中国の家きん肉輸出を可能な限り迅速に実現させることとする。』

 2004年に中国で鳥インフルエンザが発生したことを受けて、米国は同国からの家きん肉の輸入を停止した。その後も米国が調理済み製品を含む中国産家きん肉の輸入を再開しない中、2010年にはWTOによって米国の家きん肉輸入停止措置が協定に違反しているとの裁定が下されたが、今日に至るまで同措置は継続していた。もし、今回の計画通りに中国産調理済み家きん肉の輸入が再開されれば、今後、米国では同国産が国産と競合する可能性がある。また、消費者団体や一部の議員からは、中国産食品の安全を懸念し、輸入再開に反対する声も寄せられている。

 しかし、米国の家きん肉業界は今回の計画を、米国産鶏肉の中国向け輸出再開に向けた一歩とみなし歓迎している。全国鶏肉協議会(National Chicken Council)のマイク・ブラウン会長は、5月12日に発出したプレスリリースの中で「中国市場へのアクセスを回復することを阻む既存の障害を打ち壊すこととなる明るい進展」として、今回の政権の働きを称賛している。中国は2015年、米国中西部で高病原性鳥インフルエンザが発生したことを受けて米国産鶏肉の輸入を停止しているが、同国はそれまで米国産鶏肉の主要輸出先であり、NCCによるとピーク時の2008年には7億2200万米ドルの市場であったとのことである。

 また、米国家きん鶏卵輸出協会(USA Poultry and Egg Export Council)のジム・サムナー会長も、今回の計画を支持する声明を出し、貿易は双方向的であることから、米国産家きん肉の対中輸出実現のためにも中国に同様の機会が確保されることは重要であるとしている。なお、声明の中で同氏は、中国産家きん肉の輸入が米国の家きん肉産業に与える影響についても触れており、米国の生産コストが世界最低水準であることや、中国国内に米国農務省の基準を満たす加工施設がわずかであることなどから、影響は最小限にとどまるとしている。
 
 同計画において、牛肉と鶏肉に関する項目は期日がいずれも7月16日とされていることから、米国内の報道では両者は表裏一体の関係にあり、中国産家きん肉輸入解禁の進捗が米国の切望する対中牛肉輸出の交渉材料となっているとする見方もある。今後の米中間食肉貿易の行方を占う上で、米国の中国産家きん肉輸入に関する対応に大きな注目が集まることが予想される。
【野田 圭介 平成29年5月22日発】
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