マットグロッソ州、2016/17年度の大豆収穫期限を迎え、増産が確実に(ブラジル)
マットグロッソ州農業経済研究所(IMEA)によると、2016/17年度(10月〜翌9月)の同州における大豆生産は、5月5日に収穫期限を迎えた。同州では、農牧食糧供給省(MAPA)の方針のもと、同州農務局農業保護研究所(INDEA)がダイズさび病の菌のまん延を防ぐ目的で大豆の栽培禁止期間(バジオサニタリオ)を毎年設定している。2016/17年度の同期間は、6月15日から9月14日に設定されているが、落下種子から発生する大豆についても薬剤散布または機械による除去が義務付けられていることから、6月15日から逆算して5月5日までに収穫を終えなければならないとされていた。
INDEAは、6月15日からフィールドを巡回し、監視を行き届かせるとしている。違反者が見つかった場合、違反者の次年度の栽培可能期間を短縮するほか、高額の罰金を課すとしている。
IMEAは、2016/17年度の同州の大豆生産量について、西部で多雨による被害があったものの、概ね良好な天候であったことから、過去最高の水準を見込んでいる(表)。また、2017/18年度については、9月15日から12月31日までに播種することが義務付けられているが、2016/17年度のような高単収は見込みづらいことから、前年度比2.1%減の3058万トンと予測している。
ダイズさび病(病原体:Phakopsora pachyrhizi)は、大豆の葉が落ちるのを早め、豆の形成を阻害することから、単収の大幅な低下につながる疾病である。南米では、パラグアイで最初に確認されて以降、ブラジルやボリビアなどの大豆生産地域にまん延したとされる。マットグロッソ州では、2004/05年度に初めて確認され、2016/17年度も発生が確認されている。
MAPAは、2007年1月29日、全ての大豆生産州に対して、本病根絶のため大豆の栽培禁止期間(バジオサニタリオ)を設定するよう農務省訓令第2号で指示し、以後、生産州では同期間が設定されている。さび病菌は、宿主植物(大豆、ツルマメ、クズなど)がない場合でも、60日程度生存することから、州ごとに3カ月程度の同期間が設定されている。
こうした中、同州の州都であるクイアバでは5月初旬、ブラジル、パラグアイ、ボリビアの関係者がダイズさび病対策協議会をスタートさせるなど、国境を跨いだ同病対策が本格化している。
【米元 健太 平成29年5月24日発】
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