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豚出荷価格の低迷を受け、政府が養豚農家の経営安定策を発表(ベトナム)

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 4月下旬、ベトナムの副首相は、養豚農家の豚出荷価格の記録的な低迷を受け、関係各省に対し、同国の大半を占める飼養頭数10頭以下の零細・小規模養豚農家の負担を軽減し、安定的な発展を図るための解決策の策定を指示した。
 2016年の1人当たり豚肉消費量は39.1キログラム(生体ベース)と、食肉消費量の7割を占める。近年の経済発展に伴う所得水準の上昇により、国内の豚肉需要は拡大しており、2015年の豚飼養頭数は、過去最高となる2775万頭となっている。
 しかし、2016年後半から豚の供給過剰に陥って以来、豚出荷価格は、記録的な低迷を続けており、2017年5月30日現在、1キログラム当たり2万5000ベトナムドン(約120円)と、前年5月31日比で51%下落している(図)。
 最近の豚出荷価格の低迷の主な要因として、農業農村開発省畜産局副局長は現地報道に対し、昨年末に中国が口蹄疫など伝染性疾病の侵入を防ぐため、国境付近で行われている豚の密輸などの監視を強化したことを挙げている。中国側の監視強化によりこれまで中国向けに出荷されていた豚が国内に供給されたため、国内市場は飽和状態となり大幅な価格下落を引き起こしたとされる。
 今回の豚出荷価格の低迷によって、いかにベトナムの養豚農家が、国内市場より高い収益が出る中国市場に目を向けて飼養頭数を増加させていたのかをうかがい知ることとなった。
 副首相は、短期的な解決策として、産業貿易省に対し、関係機関と協力して豚肉の輸出促進を図りそれに関する種々の条件整備を行うとともに、食肉加工企業や小売店などが、養豚農家の負担を軽減するため、国産豚肉の積極的な買い入れや消費拡大を図るよう指示した。また、長期的な解決策として、農業農村開発省などに対し、零細・小規模養豚農家の生産性および品質の向上や生産コストの低減に向けて、高度な飼養管理技術の普及を推進するよう指示した。
 これを受け、産業貿易省は5月6日、税関当局などに対し、国産豚肉の輸出を促進するための条件の整備や国境付近での豚および豚肉の密輸などの不正の監視を指示している。
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【青沼悠平 平成29年5月30日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:青沼悠平)
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