2016/17年度穀物生産者の現金所得、過去最高の見込み(豪州)
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は5月18日、2016/17年度(7月〜翌6月)の穀物生産者の経営動向に関する調査結果を発表した。これによると、穀物生産者の現金所得は、小麦と大麦の記録的な豊作により現金収入が増加したため、調査開始以来の最高を更新する見込みとしている(表)。
現金収入については、主要な穀物である小麦と大麦の生産量がいずれも過去最高を記録することから、前年度比12.2%増の85万1000豪ドル(7234万円、1豪ドル=85円)とかなり増加すると見込まれている。
一方、現金支出については、肥料などの増加分を、支払利息、修繕費などの減少分が相殺することで、わずかな増加にとどまるとみられる。
この結果、現金収入と現金収支の差で算出される現金所得は、前年度を大幅に上回る29万豪ドル(2465万円、前年度比27.4%増)と、過去最高を記録すると見込まれている。
現金所得を経営形態別にみると、金額は穀物専業経営が複合経営の約2倍となっているが、増加率は、牛肉および羊肉の価格上昇の恩恵を受けた複合経営の方が大きくなると見込まれている。
また、地域別にみると、南部は、他の地域に比べて小麦、大麦を中心とする主要穀物生産が最も増加したことで、前年度57.4%増と大幅に増加し、北部も、他の地域に比べて穀物生産由来の収入の割合は低いものの、主要穀物生産量の増加により大幅に増加するとみられる。一方、西部は、小麦、大麦の一大生産地であり、穀物生産に由来する収入の割合が他に比べて最も高いが、霜の影響などにより他の地域より主要穀物の生産量の増加率が小さいため、他の地域に比べて現金所得の増加率が小さいものとみられる。
【大塚 健太郎 平成29年6月5日発】
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