2016/17年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第9回)を公表(ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は6月8日、2016/17年度(10月〜翌9月)第9回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)と、秋植えの冬期作物(第2期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
これによると、主要穀物の作付面積は前年度をわずかに上回り、生産量はエルニーニョ現象による干ばつ被害で不作であった前年度を大幅に上回ると見込まれている(表1)。
トウモロコシは、前年度の干ばつによる需給逼迫を受けて作付面積が増加する上、単収も増加することにより、前年度比約4割増の9000万トンを上回る生産が予測されている。また、大豆も、作付面積の微増や単収の回復により、初めて1億トンを超えるとの予測となっている(図1)。
なお、今回の予測で、2016/17年度の大豆とトウモロコシの生産量は、いずれも6回連続で上方修正されたこととなり、記録的な増産が見込まれている(図2)。
トウモロコシ生産量、前年度から大幅増を見込む
第1期作、前年度比17.7%増
第1期作トウモロコシの生産量は、前年度比17.7%増の3031万トンを見込んでいる(表2)。多くの主産地で生育期に一定の降雨を記録するなど、天候に恵まれたことから、前回報告から16万トン程度上方修正された。
主要生産州(上位5州)で見ると、作付面積、単収ともに良好で、生産量は同14%増の2209万トンと予測されている。
第2期作生産量、前年度比1.5倍へ
第2期作トウモロコシの生産量は、単収が干ばつで大幅な低下を記録した前年度から回復するため、前年度比55.8%増の6352万トンを見込んでいる(表3)。
地域別に見ると、主産地であるマットグロッソ州では、播種後から適度な降雨を記録したことから、生育が順調に進み、過去最高の2530万トンの生産量と予測されている。
マトピバ地域の生産量、バイーア州で回復遅れ
CONABは、新興農業開発地域である北東部を中心としたマトピバ地域のトウモロコシ生産量を、エルニーニョ現象に伴う深刻な干ばつで大幅に落ち込んだ前年度からの回復を見込んで、前年度比70.7%増と予測している(表4)。
しかしながら、同地域で最大の生産量を誇るバイーア州では、12月〜翌1月に降雨が少なかったこともあって、平年より単収が低くなると見込まれている。このため、同地域の生産量は、前年度からは大きな回復が見込まれるものの、2014/15年度の水準(636万トン)には及ばない予測となっている。
大豆生産量、過去最高を見込む
大豆生産量は、主産地で生育期の11〜12月に適度な降雨を記録したことを受けて、前回報告から91万トン程度上方修正され、前年度比19.4%増の1億1392万トンと過去最高となると見込まれている(表5)。
作付面積は、前年度をわずかに上回る程度であるものの、単収は、エルニーニョ現象による干ばつなどで低下した前年度からの大幅な回復が見込まれている。
一方で、このような増産見込みを受け、大豆価格が低調に推移したことから、生産者の売り控えが進んでいるとされ、パラナ州ではすべての収穫が終了したにもかかわらず、まだ収穫量の44%しか販売されていない。その結果、主産地を中心に貯蔵能力不足が懸念されている。
マトピバ地域の生産量、大幅な回復を見込む
マトピバ地域の大豆生産量は、前年度比84.1%増と前年度の大幅な減産からの回復が見込まれている(表6)。トカンチンス州などの一部地域では害虫の発生による影響が報告されているものの、全体的に天候に恵まれたことから、順調に収穫が進んでいる。
【佐藤 宏樹 平成29年6月16日発】
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