世界最大級の食肉企業で、ブラジルに本拠を構えるJBSグループは6月6日、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイに保有する牛肉関係工場を3億米ドル(約330億円)で、牛肉生産量国内第3位のミネルヴァ社に売却することを発表した。売却対象物件は、アルゼンチンの5工場、パラグアイの3工場、ウルグアイの1工場の計9工場で、同グループの南米部門であるJBS Mercosulが保有していた。
JBSグループを実質的に経営するジョエズレー・バチスタ氏とウェズレー・バチスタ氏の兄弟は、以前から贈賄などの汚職問題に関与していた疑いで、検察から取り調べを受けているが、すでに自白減刑で合意。その結果、多額の罰金を支払う必要性が生じ、売却を検討していたと考えられている。
現在、JBSグループを保有する資産管理企業のJ&F社は検察側と罰金額の交渉を行っているが、J&F社側は40億レアル(約1440億円)を提示したのに対し、検察側は111億レアル(約4000億円)の支払いを要求するなど、交渉は難航している。
買収後のミネルヴァ社の1日当たりと畜頭数は2万6380頭と、1万頭近く増加する。また、今回買収する全工場が米国、欧州、中国向け輸出認定工場となっていることから、同社の輸出量増加も見込まれる。