メキシコ政府や業界関係者がブラジルの穀物主産地を訪問(ブラジル)
メキシコがブラジル産トウモロコシや大豆などの輸入を増加すると伝えられる中、ブラジル現地報道は、5月にメキシコ農牧農村開発漁業食糧省(SAGARPA)や民間企業で構成された代表団がブラジルの主要産地を訪問し、輸出企業との交渉を行ったと報じた。
メキシコは、これまで米国からトウモロコシなどの穀物を輸入してきたが、米国でトランプ大統領が就任して以降、メキシコ・米国間の関係が悪化していることから、ブラジルやアルゼンチン等との関係強化を模索しながら、今後、輸入先の多角化を図っているとみられている(表1、2)。
SAGARPAのラウル・ウルテハ国際関係コーディネーターは、「米国のトランプ政権がメキシコに対して攻撃的な姿勢を示している中、メキシコは、これまでの米国依存を見直して、貿易の多角化を推進する時期にある」と述べている。
なお、ブラジルやアルゼンチンが加盟するメルコスール(南米南部共同市場)とメキシコの間では、2002年7月にメルコスール・メキシコ経済補完協定(ACE)54号が署名され、2006年1月に発効している。ACE 54号は、自由貿易協定の締結を目指した枠組み協定であり、自由貿易に実際に向け進められたのは、ACE55号による自動車分野に限定されており、その他の分野の自由化は進んでいない。
ブラジルは、世界最大級の大豆およびトウモロコシ輸出国に数えられるが、近年メキシコへの輸出実績は不安定に推移している。こうした背景には、メキシコ向けの輸出が米国の生産状況に左右されることや、メキシコと隣接する米国と比べ、ブラジル産の調達コストが割高であることが挙げられている。
米国農務省(USDA)の最新の統計によれば、2016/17年度のメキシコのトウモロコシおよび大豆の需給は以下のとおりである(表3、4)。メキシコの全国養鶏連合のセザル・ケサダ・マシアス会長によれば、メキシコの養鶏部門は、トウモロコシとソルガムを年間に約1000万トン程度消費しており、これらの40%を輸入に依存している。
【米元 健太 平成29年6月23日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
Tel:03-3583-4391