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脱脂粉乳公的在庫の売渡入札、半年ぶりに落札(EU)

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 欧州委員会は、6月20日に実施した脱脂粉乳公的在庫の10回目の売渡入札の結果、100トンが落札されたと公表した。これまで実施した10回のうち2回目から9回目までは全量不落となっており、半年ぶりの落札となった。
表 脱脂粉乳公的在庫の売渡入札実績
 応札数量は、ベルギーとポーランドの企業による計1340トンとなり、前回、前々回(ともに240トン)から5倍以上に増えた。これは、EU最大の生乳生産国であるドイツで春に寒波が襲来したことや、欧州南部で気温が平年より上昇しているなどの天候不順が重なったことから、生乳生産が減少し、脱脂粉乳の需要が高まったためとみられている。
 
 落札価格は、100キログラム当たり185.00ユーロ(2万3495円:1ユーロ=127円)となり、これまでの唯一の落札である1回目の売渡最低価格(215.10ユーロ(2万7318円))から14.0%低いものとなった。
 欧州委員会は、これについて、現在のEU平均卸売価格より7%程度低いものの、公的買入価格(169.80ユーロ(2万1565円))より9.0%高い価格であり、製造後2年経っていることから「理解できるもの」と説明した。なお、ベルギーの企業が全量落札している。
図 脱脂粉乳のEU平均卸売価格
 売渡入札は、生産者団体から、価格が十分に回復しておらず時期尚早であるとの批判がある中でのスタートであった。欧州委員会は、35万トン強(EU年間生産量の3分の1に相当)の公的在庫を抱え、また、売渡入札開始後にも7937トンの公的在庫が積み増されている中、一連の売渡入札の目的は在庫の削減ではなく、あくまで需給バランスの均衡と価格の回復であるとし、これまでは売渡最低価格を安易には引き下げず、今回の落札価格以上の応札も不落としていた。
 
 次回入札は7月18日に実施される予定である。欧州乳製品輸出入・販売業者連合(Eucolait)は、今回の入札で4カ月ぶりに公的買入価格を上回る応札があったことや欧州委員会が売渡価格を引き下げたこと、また、最近の脱脂粉乳価格の上昇などが次回の入札に影響を与えることは間違いなく、その結果を注視したいとコメントした。欧州委員会は、膨大な公的在庫について、生活困窮者への食糧支援のために使用する枠組みの検討を開始したとされており、EUの脱脂粉乳公的在庫をめぐる今後の動向には、関係者から注目が集まっている。
【大内田 一弘 平成29年6月28日発】
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