豪州酪農評議会
(注)(Australian Diary Industry Council、以下「ADIC」という)は6月30日、「豪州における酪農家と加工業者間の契約に関する実施規約(Code of Practice for Contractual Arrangements Between Dairy Farmers and Processors in Australia)」を策定した。
この規約が策定された背景には、2015/16年度にマレーゴールバン社と豪州フォンテラ社が、年度終了2カ月前の4月、年度当初に遡って生産者乳価を大幅に引き下げことから、多くの酪農家は十分な収入を得ることができず、資金繰りが苦しくなったという事態がある。
この規約は、拘束力はなく任意ではあるものの、酪農家と乳業メーカー間の生乳供給契約(以下「契約」という)において、生産者乳価の決定方法を明確化するとともに、乳業メーカーが生産者乳価の一方的な引き下げを実施できないように誘導するために策定された。現地報道によると、マレーゴールバン社、豪州フォンテラ社など主要な乳業メーカーがこの規約を遵守することに署名しており、署名した乳業メーカーで豪州の生乳生産量の8割以上を取り扱っているとしている。
この規約では、主に次のような事項を契約に盛り込むよう規定している。
- 酪農家および乳業メーカー双方の責務を明確かつ簡潔に規定すること。
- 生産者乳価を明確に記載する、生産者乳価の算出方法を明示するなど、それぞれの酪農家が受け取ることができる生産者乳価の額を明確にすること。
- 乳業メーカーは、生産者乳価を引き下げる場合は、年度当初まで遡って適用しないこと。
- 乳業メーカーは、生産者乳価を引き下げる場合は、30日前までに酪農家に通知すること。また、酪農家は通知を受けてから30日以内であれば、罰則なしに契約を解除できること。
- 乳業メーカーは、酪農家が生乳生産を拡大した時、増加した生乳を契約と同一条件で受け入れない場合は、酪農家がその増加分を他の乳業メーカーに供給することを認めること。
なお、この規約は、1年後に事後評価が実施され、3年ごとに見直されることとなっている。
(注) 豪州酪農評議会は、全豪の酪農家で組織する豪州酪農生産者協会(Australian Dairy Farmers)と乳業メーカーで組織する豪州乳製品協会(Australian Dairy Products Federation)の2つを束ね、業界を代表して政府への提言などを実施する団体。