マレーシア農業・農業関連産業省獣医サービス局は、2016年のブロイラー産業の現状と2017年の見通しに関する調査結果を公表した。同調査は、2016年6〜8月に半島マレーシア(マレーシアのうちサラワク州、サバ州を除く部分)の種鶏場22社(うちインテグレーター7社)88農場を対象に実施された。
これによると、2016年の種鶏ひなの導入羽数は、前年比24.3%増の749万羽と前年を大きく上回った(表1)。このうちインテグレーターは同10.3%増の455万羽と全体の60.8%を占めている。種鶏の構成は、飼料効率の良いコッブ(Cobb)が全体の64%を占め、強健で発育が良いロス(Ross)が33%と続き、この2種で97%を占める。
同年のブロイラー用素ひなの生産羽数は、8億3908万羽(同5.8%増)となっており、ブロイラーの出荷羽数は、8億1865万羽(同11.0%増)で、このうち7%が生体でシンガポールなどに輸出されている。
2016年のブロイラーの農家出荷価格は、生体重1キログラム当たり3.8〜6.1リンギット(99〜159円)の範囲で、年平均価格は4.98リンギット(129円、同10.9%高)であった。
2017年の見通しについては、同年2月に鳥インフルエンザ(AI)が発生したことや飼料原料価格の高騰などを踏まえ、ブロイラー用素ひなの生産羽数は、前年並の8億4171万羽、ブロイラーの出荷羽数は、前年をやや下回る7億9962万羽とやや控えめな数値となっている。なお、同局は7月1日にAIの清浄化を宣言している。
マレーシアで最も消費の多い食肉は、最も安価で、宗教的な制約も少ない、家きん肉(鴨肉などを含む。)となっている。1人当たり消費量は増加しており、2015年には50.7キログラムと、世界的にも高い水準となっている(表2)。消費量の増加に伴い生産量も増加しており、同年の家きん肉生産量は、過去最高の154万5000トンとなった。