欧州の製糖業界、英国のEU離脱交渉に関する声明を発表(EU)
最終更新日:2017年8月2日
欧州砂糖製造者協会(CEFS)は7月17日、英国のEU離脱交渉が第2回交渉の開始により本格化したことを踏まえ、以下の要求内容について声明を発表した。なお、CEFSの英国加盟メンバー(製糖企業British Sugar社)はこの声明発表に参画していないため、CEFSは、声明の内容自体について、同社が賛成であるか反対であるかは判断されるべきではないとしている。
1.阻害なき砂糖貿易
英国は、EUを離脱した後、残るEU27加盟国(以下、「27加盟国」という)にとって最も重要な砂糖輸出先となる。このため、英国が今後、27加盟国と自由貿易協定(FTA)を締結する場合も、EUの関税同盟に加盟する場合も、27加盟国との現行の無税かつ無制限の市場アクセスを維持することが必要不可欠である。
2.砂糖貿易における譲許の平等な分配
砂糖貿易における譲許(concessions)は、これまでEU加盟国が一体となって交渉してきた(注1)。このため、これらの譲許は、英国と27加盟国間で輸入割合に応じ、平等に分配されるべきである。なぜなら、EUの製糖産業は、生産割当が設定されてきた結果、業界自体が縮小しており、第三国からの輸入を拡大させる余裕がないからである(注2)。
3.市場アクセスの譲歩には2.が解決されない限り反対
砂糖貿易における現行の譲許が上記2のように平等に分配されない限り、EUは、第三国からのいかなる追加アクセスの要求にも応じるべきではない。特に、メルコスールやメキシコとのFTA交渉において、砂糖は対象外とされるべきである。
(注1)EUの砂糖輸入に関しては、ブラジルなどに対し関税割当が設けられている。なお、アフリカ、カリブ、大洋州(ACP)および後発開発途上国(LDC)諸国からの輸入は、原則として無税かつ無制限となっている。
(注2)2017年9月末に生産割当が廃止されることから、EUでは砂糖生産量の増加が見込まれている。
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