NZの畜産経営者の意向調査、前回に続き明るい見通し
ニュージーランド(NZ)の生産者団体である、NZ農業者連盟は8月、農業経営者の向こう6カ月程度の経営見通しについての意向調査結果を発表した。同調査は、年2回、NZの会計年度(7月〜翌6月)の始期となる7月および年度中期の1月に実施されているものである。以下、同調査結果から収益性見通し、生産見通しなどについて、「酪農」および「食肉・羊毛」別に概要を紹介する。
収益性見通し、酪農、食肉・羊毛ともに「改善」が増加
今後の収益性見通しについて、酪農は、「改善」の割合が、大幅に増加した前回(2017年2月)からさらに12.5ポイント増加し、60.7%となった(図1)。また、「悪化」の割合も前回から減少し3.2%(前回比4.9ポイント減)と、楽観的にみている酪農家が過半数を占めている。これは、乳製品国際価格の上昇に伴い、最大手の乳業メーカーであるフォンテラ社をはじめ、乳業メーカーが提示する生産者乳価が上昇傾向で推移していることが背景にあるとみられる。
また、食肉・羊毛についても、「改善」の割合が32.9%(同7.7ポイント増)と増加し、「悪化」の割合は9.5%(同22.4ポイント減)と大幅に減少した(図2)。これは、牛肉の輸出価格が比較的高い水準で推移していることなどが背景にあるとみられる。
生産は、酪農、食肉・羊毛ともに増加の見通し
生産見通しについては、酪農は、「増加」の割合が39.8%(前回比14.8ポイント増)とかなり大きく増加し、「減少」の割合は5.3%(同7.6ポイント減)と、多くの酪農家が、収益性の改善を背景に増産を計画している(図3)。
一方、食肉・羊毛は、楽観的な収益見通しを背景に、「増加」の割合が減少した前回から増加に転じた(図4)。
懸念事項では、「諸規則・法令対応」が首位に
さらに、農業経営に係る懸念事項についても調査が行われている。経営区分別の内訳は公表されていないものの、農業経営者の最大の懸念は、前回第2位であった「諸規則・法令対応」(31.9%)となっており、これまで首位であった「商品価格」は、第2位(12.7%)となった。また、前回5位(6.4%)であった「農業への理解」が3位(11.0%)、前回7位(5.4%)であった「環境」が4位(7.9%)と増加しており、農業に対する社会的な評価に関心が高まっていることを示している。
【大塚 健太郎 平成29年8月10日発】
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