アルゼンチン、米国産豚肉の輸入再開に合意(米国)
米国政府は8月17日、アルゼンチンが25年ぶりに米国産豚肉の輸入を再開することに合意したと発表した。アルゼンチンは家畜衛生上の懸念があるとして米国産豚肉の輸入を1992年以来停止していたが、同月15日に実施されたマイク・ペンス米国副大統領とアルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領との会談で今回の合意に達した。
図の通り、アルゼンチンの豚肉消費量は2003年以降、一貫して増加傾向で推移しており、1人当たり豚肉消費量についても、2016年には13キログラムと、牛肉の約4分の1、鶏肉の約3分の1にすぎないものの、2011年と比べ50%以上増加した。同国は豚肉消費量の約9割を自給しているが、豚肉輸入量は2014年以降増加傾向で推移している。2016年は2万5708トン(製品重量ベース)であり、ブラジル産が大半を占めた。
今回の合意に関して、米国政府は、アルゼンチンの豚肉市場に対して、年間1000万ドルもの潜在性があるとしている。この背景には、同国における堅調な豚肉需要があるとみられる。こうしたことから米国食肉輸出連合会(USMEF)は、今後、同国において加工用原料としてのもも肉や肩肉などの需要が高まると見込んでいる。
今日、史上最多水準の飼養頭数を有し、2018年にかけても高水準の豚肉生産が継続すると見込まれている米国の豚肉業界からは、新たな輸出先が得られたことを歓迎するコメントが出されており、全米豚肉生産者協議会(NPPC)のケン・マシュホフ代表は、「米国の豚肉生産者は、世界で最も競争力が高く、手ごろな値段で高品質な豚肉をアルゼンチンに供給するのを心待ちにしていた」とのコメントを発出した。
今後は、アルゼンチンの食品安全当局による米国食肉検査制度の現地調査が予定されており、そこで技術的な問題がなければ、米国産のすべての生鮮・冷蔵・冷凍豚肉および豚肉調整品の輸出が可能となる。
なお、本件についてアルゼンチン養豚生産者協会のJuan Uccelli会長は22日、衛生上の懸念があるとして、アルゼンチン農産業大臣のリカルド・ブルジャイレ氏との会談を示唆している。
米国がアルゼンチンの輸入豚肉市場に参入することで、両国の豚肉をめぐる構図がどのように変化するのか、今後の動向が注目される。
【野田 圭介 佐藤 宏樹 平成29年8月24日発】
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