なお、過去に米国でのHPAI発生に伴う同国からの輸入停止期間が無かった直近年は2014年であり、同年には米国から1億2000万米ドル相当の家きん製品(鶏卵含む)を輸入しており、米国にとっては第10番目の輸出相手国であった。
また、韓国国内では鶏卵の供給が不足していることから、同月9日付で韓国政府は米国からの鶏卵及び鶏卵製品(9つの製品カテゴリー)の輸入に対し、28000トンの無税枠を設定した旨を発表しており、現状では本年12月末まで本無税枠を活用できることとなっている。
この鶏卵の供給不足は韓国で昨年末から断続的に発生したHPAIの影響が大きく、これを解消すべく本年1月には両国間で米国産鶏卵の韓国への輸入条件が初めて設定され、本年3月に米国でHPAIの発生が確認されるまでの間は実際に多くの鶏卵が輸出されていた。それを裏付けるように、2017年の年初来から6月までの韓国向けの鶏卵及びその加工品の輸出額は前年同期比1000万米ドル増の1200万米ドルとなっている。さらに、直近の出来事として、同国内の鶏卵から殺虫剤成分が次々と検出され、より一層の鶏卵不足が懸念されるおそれがあり、米国にとっては一時的かもしれないが、当面の間の有望な輸出先国となりそうだ。
今回の輸入停止措置解除を受け、米国鶏卵ボード(American Egg Board)のAnne L.Alonzo会長兼CEOとアメリカ家きん鶏卵輸出協会(USAPEEC)のJim Sumner会長は以下のような共同声明を発表している。
- 米国の鶏卵生産者は、米国の信頼でき、栄養に富んだ鶏卵を韓国の消費者や食品関係者に再び供給できる準備が整っている。我々は、USDAの動植物検疫局(APHIS)や海外農業局(FAS)といった関係部局が韓国政府当局とともに停止措置解除のために尽力してくれたことに特別な感謝を申し上げたい。また、将来的に韓国農林畜産食品部(MAFRA)が地域主義の考え方を取り入れてもらえるような継続的な取り組みにも期待したい。