集乳量は、天候が芳しくなかったことによる生産減の影響から、273万2000キロリットル(前年度比21.7%減)と前年度を2割以上下回り、同社は、「困難なシーズンであった」としている。
売上については、約半分のシェアを占める消費者向け乳製品部門は、成人向け高栄養(調製)粉乳が、国内市場を中心に不振となったことを受け、12億2140万豪ドル(1074億800万円(1豪ドル=88円)、同7.9%減)となった。また、粉乳などの産業向け部門についても、乳製品国際市況の回復により1トン当たりでは増加したものの、生乳仕向け量の減少などもあり、9億5830万豪ドル(843億3000万円、同12.3%減)と減少したため、全体としては24億9100万豪ドル(2192億800万円、同10.3%減)となった。
こうした売上減に加え、2016年10月に、同年5月に運用を開始した緊急支援措置(Milk Supply Support Package)
(注1)を見直し、MG社との生乳供給契約を更新しなかった酪農家からの回収不能額(3180万豪ドル(27億9800万円))を肩代わりしたことで発生した追加支出や、資産の評価替えに伴う評価損などの影響から、3億7080万豪ドル(326億3040万円)の純損失を計上した。
1株当たり配当
(注2)については、以前からの報道の通り、行われなかった。一方、生産者支払乳価については、乳製品国際市況の回復や、集乳減への対抗策として年度途中に引き上げを実施したことから、前年度を上回るものとなった。
MG社は、2017/18年度の見通しについて、以下の通りコメントしている。
- 集乳量は、今後さらに減少し、200万キロリットル程度まで落ち込む可能性がある。
- 生産者支払乳価は、今のところ現状維持としているが、年度末の支払見込み(乳固形分1キログラム当たり5.2豪ドル(458円))を維持できるかどうかは、為替相場や乳製品国際市況の動向次第である。
- 経営戦略の刷新を急いでいる。アドバイザーのドイツ銀行に対しても、高い乳価の安定的な支払や、資本調達力の強化といった観点から、より具体的な提案を行うよう指示している。
現地報道によると、MG社と競合する豪州フォンテラ社は、MG社の主な集乳拠点であったビクトリア州北部にチーズ工場を新設したこともあり、より多くの酪農家の確保を目指している。同社の2017/18年度集乳量は、生乳供給契約をMG社から同社に切り替える酪農家の増加などにより、MG社並みの200万キロリットルとなるとされており、MG社の「豪州最大手」という肩書は、今後、維持が危ぶまれるとしている。
注1:緊急支援措置について
- 緊急支援措置は、2015/16年度、2016年4月の生産者支払乳価の引き下げと併せてMG 社が発表したもので、同社が借入金を財源として、同年度の最終的な生産者支払乳価に上乗せし、実際の酪農家への支払額を乳固形分1キログラム当たり5.49豪ドル(483円)とするもの。総額は1億8300万豪ドル(161億円)程度と見込まれていたが、同社はこの資金について、向こう3年間、生産者支払乳価から一定額を控除する形で回収するとし、支援を受けた後に同社への生乳供給をやめたため回収不能となった分については、現に供給を続ける酪農家が負担するとしていた。
注2:配当について
- 生産者は生乳出荷実績に応じてMG社の株式を取得しており、最終的に生産者に支払われる金額は、生産者乳価に配当金を上乗せした金額となる。