2016/17年度主要穀物の生産状況等の最終調査結果を公表（ブラジル）

　ブラジル国家食糧供給公社（CONAB）は9月12日、2016/17年度（10月〜翌9月）第12回目（最終回）となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物（大豆、第1期作トウモロコシなど）と、秋植えの冬期作物（第2期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など）の生産予測を毎月公表するものである。
　これによると、主要穀物の作付面積は前年度をやや上回り、生産量はエルニーニョ現象による干ばつ被害で不作であった前年度を大幅に上回ると見込まれている（表1）。
　トウモロコシの生産量は、前年度の干ばつによる需給逼迫を受けて作付面積が増加した上、単収も増加したことから、前年度比46.9％増の9771万トンと予測されている。また、大豆も、単収の回復などにより、前回同様初めて1億トンを超える予測となっている（図1）。
　2016/17年度の生産予測については、大豆とトウモロコシともに、1月の第4回目以降9回連続で上方修正され、記録的な増産が見込まれることになった（図2）。
　

　第1期作トウモロコシの生産量は、前年度比18.3％増の3046万トンを見込んでいる（表2）。多くの主産地で生育期に一定の降雨を記録するなど、天候に恵まれたことが要因とされている。
　主要生産州（上位5州）で見ると、作付面積、単収ともに増加が見込まれることから、生産量は同14.3％増の2214万トンと予測されている。
　

　第2期作トウモロコシの生産量は、単収が干ばつで大幅な低下を記録した前年度から回復するため、前年度比64.9％増の6725万トンを見込んでいる（表3）。
　地域別に見ると、主産地であるマットグロッソドスル州では、播種後から適度な降雨に恵まれたことから、一部地域では7月中旬に降霜が観測され、その影響が不安視されたものの、前年度比56.9％増の961万トンと過去最高の生産量が予測されている。

　CONABは、北東部に位置する新興農業開発地域のマトピバ地域におけるトウモロコシ生産量を、エルニーニョ現象に伴う深刻な干ばつで大幅に落ち込んだ前年度から回復することから、前年度比72.8％増の622万トンと大幅な増加を見込んでいるが、2014/15年度の水準（636万トン）には及ばないとしている（表4）。

　大豆生産量は、主産地で生育期の11〜12月に適度な降雨を記録したことを受けて、前年度比19.5％増の1億1408万トンと過去最高となると見込まれている（表5）。
　作付面積は、前年度をわずかに上回り、単収は、エルニーニョ現象による干ばつなどで減少した前年度からの大幅な回復が見込まれている。
　一方で、このような増産見込みを受け、大豆価格が低調に推移したことから、生産者の売り控えが前年度より顕著に見られており、今後の価格上昇に期待が高まっているとしている。

　マトピバ地域の大豆生産量は、前年度比83.6％増と大幅に減産した前年度からの回復が見込まれている（表6）。このうち、トカンチンス州では、一部地域で害虫の発生による影響が報告されたが、良好な気候が後押しし、生産量は前年度比67.6％増になるとみられる。

　2017/18年度のトウモロコシの生産について、CONABは、当機構の照会に対し、「第1期作が中心となるサンパウロ州やマトピバ地域などでは、豊作によるトウモロコシ価格の低迷で、価格の良い大豆に移行する生産者が増えることから、トウモロコシの生産量は減少するだろう」との見通しを示した。