また、主な利害関係者や各派の主張などは以下のとおりである。
−主な利害関係者
● クック郡政委員会(議長のプレニクル氏を含めて17名、同郡は民主党優位)
• 民主党議員(支持派)
• 共和党議員(反対派)
● 主な支持派ロビー
• マイケル・ブルームバーグ氏(前ニューヨーク市長)
● 主な反対派ロビー
• 米国飲料協会(The American Beverage Association)
• イリノイ州小売業者協会(The Illinois Retail Merchants Association)
• 「Can the Tax」連合(同州の小売、レストラン、飲料関係団体で構成)
• 小売業者、飲料業者、レストラン経営者
−支持派の主張
- ソーダ税の導入により、約2億ドル(約230億円)の財源不足を補うことができる。
- 財源不足による刑事司法や健康保険関連に対する予算カットを防止。
- 幼児期の肥満と戦い、米国の公衆衛生を向上させる(ブルームバーグ氏)
−反対派の主張
- 主に貧困層が税を負担できない(最終的に90%の住民が反対した)。
- ソーダ税の導入により、特に郡境に近い住民は、他の郡で買い物をするようになり、郡内では、甘味飲料の売上が減り、小売業者の利益を圧迫しているだけでなく、当初期待したほどの税収が得られなかった。
- 小売業者やレストランによっては、飲料による売り上げが50%近く低下した。
−廃止へと向かった理由
反対派議員や小売業者、不満を有した住民によるたゆまぬロビー活動により、当初は支持を崩さなかった民主党議員も、次期(2018年に選挙が予定)の再選のために反対派の声を聞かざるを得ない状況に追い込まれ、廃止を推進する議員が出てきた。
このように、シカゴ市を含む広い行政区域でのソーダ税導入は、注目を浴びたが、導入からわずか4カ月間で廃止されることになった。同国では、下表のとおり、西海岸有数の都市であるシアトル市でも2018年1月からの導入が新たに決定されたほか、導入の是非に関する議論が数多く進行中である。今回の動きが、それらの議論に影響を与えるのかどうかが注目される。