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NZ一次産業省、畜産物需給見通しを公表

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 ニュージーランド(NZ)一次産業省は12月11日、2018/19年度(7月〜翌6月。ただし、生乳生産量は6月〜翌5月)までの一次産品の需給見通しを公表した。このうち、牛乳・乳製品と牛肉の需給見通しは、以下の通りとなっている。

【牛乳・乳製品】2017/18年度輸出額、輸出単価の上昇を受け大幅増

 2017/18年度の生乳生産量については、本格的な搾乳が始まった春先(8〜9月)の多雨により牧草生育が遅れたこと、前年度のような秋(3〜5月)における良好な牧草環境による増加が期待できないことから、乳固形分ベースで185万トン(前年度比0.3%減)とわずかな減少を見込んでいる(図1)。ただし、今後の増加要因として、10月以降の天候回復、土壌水分含有量の増加に伴う良好な牧草生育および生産者支払乳価の上昇に伴う収入の増加により、生産者が補助飼料の給与を増加させる可能性があることを挙げている。
 また、2018/19年度については、乳製品国際取引価格や生産者支払乳価が前年度からは下落するものの、なおも比較的高水準で推移することから、同189万トン(同2.2%増)と見込んでいる。
 
 2017/18年度の乳製品輸出については、輸出量は、生乳生産の減少により326万トン(前年度比0.7%減)とわずかに減少するものの、輸出額は、乳製品国際価格の上昇に伴い168億4000万NZドル(1兆3304億円、1NZドル=79円、同15.0%増)と大幅に増加すると見込んでいる(図2)。バター、無水バターおよびクリームの輸出額は、40億6000万NZドル(3207億円)と前年度の1.5倍近くまで増加すると見込んでおり、バター価格の高騰が輸出額全体を押し上げている。
 また、2018/19年度については、輸出額は、バターの輸出単価が下落するものの、生乳生産量の増から輸出量が増加することから、168億8000万NZドル(1兆3335億円、同0.2%増)とわずかな増加を見込んでいる。今後、EUや米国の生乳生産量の増加に伴い、競合が高まって乳製品国際取引価格が下落するものの、最大のマーケットである中国からの需要は強く、特にヨーグルトや育児用調製粉乳の伸びが高いことから、今後、こうした高付加価値商品に注力することで、輸出を拡大していくとしている。
 

【牛肉】2017/18年度生産量、輸出量、ともに減少見込み

 2017/18年度の牛肉生産量は、肉用牛飼養頭数は堅調なものの、と畜頭数全体の4割程度を占める乳用牛の淘汰が、生産者支払乳価の回復に伴い減少するため、63万トン(前年度比1.6%減)とわずかに減少すると見込んでいる(図3)。
 また、2018/19年度は、国際的な需要の高まりを受けて牛肉輸出単価が比較的高く推移すると見込んでいることから、64万トン(同1.5%増)とわずかに増加すると見込んでいる。
 
 2017/18年度の牛肉輸出量は、生産量の減少に伴い39万トン(同1.3%減)と見込んでいる(図4)。一方、輸出額は、米国や中国など主要輸出先国からの需要が強く、輸出単価が1キログラム当たり6.9NZドル(545円、同0.7%増)とわずかに上昇することから、27億NZドル(2133億円、同0.2%減)と、わずかな減少を見込んでいる。
 また、2018/19年度は、生産量がわずかに増加し、引き続き輸出単価が堅調に推移することで、輸出額は27億2000万NZドル(2149億円、同0.7%増)とわずかな増加を見込んでいる。
 
【大塚 健太郎 平成29年12月18日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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