欧州委員会は、1月16日に実施した脱脂粉乳公的在庫の売渡入札の結果、過去16回のうち最大となる1864トンが落札し、最低落札価格は100キログラム当たり119ユーロ(1万6303円)であったと公表した(表)。
今回の最低落札価格は、これまでの入札で最低だった前々回(同139.02ユーロ(1万9046円))を14.4%下回り、公的買入価格(同169.8ユーロ(2万3263円))を29.9%下回った。また、前回不落とした同130ユーロ(1万7810円)を8.5%下回っている。
欧州委員会は、今回の入札に先立つ昨年12月16日、公的在庫の売渡対象数量をこれまでの2万2000トンから10万1000トンに大幅に拡大している。これについて欧州委員会は、昨年11月の生乳生産者価格が6カ月連続で前月を上回り前年同月比18.6%高の100キログラム当たり37.83ユーロ(5183円)と回復していること、そして公的在庫が37万8000トンを超していることが背景にあるとした。
また、同委員会は、脱脂粉乳の生産量が減少(2017年1〜10月:前年同期比4.7%減)している一方で、輸出量は、低価格により競争力が高まったことから大きく伸びている(2017年1〜11月:同38.9%増)ため、民間在庫が非常に少ない状況となっており、公的在庫を放出する余地があるとしている。
欧州委員会は、これまで再三にわたり、入札の目的は公的在庫の売却そのものではないと明言してきたが、次期(2021〜2027年)共通農業政策(CAP)の検討が始まる中、大量の公的在庫の保管経費が、次期CAPの予算獲得の足かせとならないように、在庫の軽減に踏み切ったものとみられる。
脱脂粉乳の卸売価格は、昨年6月をピークにほぼ一貫して下落し、1月第2週は同140ユーロ(1万9180円)と過去最安値を更新した。高騰していたバター価格も、1月第2週は同446ユーロ(6万1102円)とピーク時の昨年9月から31.4%安となっていることから、これまで上昇基調にあった生乳価格もやがて下落することが予想される。
2月20日に予定される次回の売渡入札においては、在庫を減らしたい欧州委員会が、需給バランスを乱さずにいかに最低落札価格を設定するかに注目が集まっており、今回の落札価格をさらに下回る安値での落札も予想されている。