豪州からの乳用牛輸入の一部停止措置を継続(中国)
豪州の現地報道によると、中国当局は、ブルータング病(注)発生ゾーンの指定が解除された現在でも、当該地域で飼養された乳用牛の受け入れを拒否している。
豪州では、家畜全般の衛生状態の向上を目的に設立された非営利法人であるアニマル・ヘルス・オーストラリア(AHA)が、豪州全土におけるブルータング病の発生状況について、同病が発生しているゾーン、発生する可能性がある緩衝ゾーン、発生していないゾーンに区分して、全国アルボウィルス監視プログラムによるモニタリングを行っている。
中国は、ブルータング病に感染していないことを生体牛輸入の条件としているため、豪州は、中国向けの生体牛輸出については、南部のブルータング未発生ゾーンから輸出することで対応している。
2017年10月、主要酪農生産地域であるVIC州北部の1農場で、輸出前検査を受けていた数頭の牛からブルータング病に感染した牛が確認され、感染牛を飼養していた農場から半径50キロメートルがブルータング病発生ゾーン、さらに50キロメートル外側が緩衝ゾーンに暫定的に指定された。これに伴い、当該地域からの中国向け生体牛輸出を一時的に停止した。しかし、当該地域の103戸の酪農家の2500頭の乳用牛に対して、大規模なブルータング病に関する検査の結果、10月に感染牛が確認された1農場以外の農場ではブルータング病に感染している牛は発見されず、感染牛も、ニューサウスウェールズ州のブルータング病発生ゾーンから導入されたことが確認されたため、VIC州におけるブルータング病発生の可能性は低いとして、12月7日、暫定的なブルータング病発生ゾーンおよび緩衝ゾーンの指定は解除された(図)。
しかし、中国当局は、指定解除以降も発生ゾーンに指定されていた地域からの生体牛の乳用牛の輸入を拒否しているという。
現地報道では、連邦政府は解決に努めているが、いまだ解決の道筋が立っていないとしている。
(注)ブルータング病は、牛、羊、山羊などの反芻動物で発生するウイルス性の感染症。ウイルスは吸血昆虫によって媒介され、接触感染はない。感染すると、発熱、目やにや鼻水の漏水、口および鼻腔内に潰瘍(かいよう)ができるなどの症状があるが、羊以外の動物では、多くの場合は症状を示さない。
【大塚 健太郎 平成30年2月6日発】
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