豪州外国投資審査委員会(Foreign Investment Review Board、以下「FIRB」という)は2月1日、外国人(外国資本)
(注1)による農地取得に対する規制を強化すると発表した。
具体的には、外国人(外国資本)は今後、1500万豪ドル(13億5000万円:1豪ドル=90円)以上の評価額の農地を取得する際、原則としてその農地が30営業日以上国内市場に公示されていたことをFIRBに示す必要がある。公示方法については、不動産業者や新聞、インターネットなどの別を問わない。FIRBは、今回の規制導入によって、国内資本家の参入機会が拡大するとしている。
FIRBは2015年、1500万豪ドル以上の評価額の農地を外国人(外国資本)が取得するに当たり、FIRBの承認を必要とする規制を設けていた
(注2)が、今回の規制は、これに加えて設けられたものである。このため、業界の一部からは、外国人(外国資本)に対する規制強化が進めば、農業界の利益が損なわれるとの懸念の声も上がっている。
農業相は、今回の規制強化について、国内で外国人(外国資本)による農地取得の手続きの透明性を求める声の高まりに応えるものであると評価している。
なお、豪州国税局(Australian Taxation Office)によると、2017年6月末現在の外国人(外国資本)による保有農地面積は、全農地面積の13.6%に当たる5051万5000ヘクタールとなっている。国別の内訳を見ると、英国(シェア32.6%)、中国(同28.5%)のシェアが高く、特に中国は、2016/17年度に急速にシェアを拡大した。
(注1)豪州に居住していない個人や国外の企業・政府、または、それらの者が20%以上の株式を有している法人などを指す。
(注2)2015年に導入された規制については、以下の海外情報を参照(2015年2月3日付海外情報「海外資本による農地取得の審査基準が厳格化(豪州)」)。
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_001186.html