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2017年の牛肉および豚肉輸出は記録的な水準に(米国)

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牛肉輸出は過去二番目の水準

 米国食肉輸出連合会(USMEF)が2018年2月7日に公表したプレスリリースによると、2017年の牛肉輸出量は、前年比6.4%増の126万3456トンとなり、2003年のBSEの発生以降では2011年に次いで二番目に多くなった。輸出額は、同14.6%増の72億6900万米ドル(7996億円:1米ドル=110円)と、過去最高を記録した(図1)。
 USMEFのホルストロム会長兼CEO(以下「会長」という)は、「2017年は米国の牛肉輸出にとって注目すべき年となった。課題も多かったが、日本市場で著しいシェアを獲得し、韓国および台湾向けは、過去最高を更新した。これらの市場では、特に冷蔵品が前年比約25%と大幅に増加し、枝肉価格にとても大きな影響を与えた。」と述べた。
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 輸出先国・地域別に見ると、日本向けは、輸出量が前年比18.9%増、輸出額が同25.2%増となった(表1)。特に、冷蔵品の輸出が堅調であった。USMEFは、日本市場はさらに拡大する可能性を有しているものの、豪州産やメキシコ産の関税が相対的に低いことに加え、包括的および先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)により、豪州、ニュージーランド、メキシコ、カナダなどの関税がさらに低くなることを懸念事項に挙げている。
 また、メキシコ向けは、それぞれ同1.8%減、同0.5%増となった。同国は、特にショルダークロッド(カタ)、ラウンド(もも)、内臓の重要な輸出先に位置づけられている。
 韓国向けは、それぞれ同2.7%増、同15.2%増となり、いずれも2年連続で過去最高を更新した。特に冷蔵品は、輸出量(同約73%増、4万5153トン)および輸出額(同約78%増、4億580万米ドル(446億円))ともに大幅に増加した。USMEFによると、米国産牛肉の品質と安全性に対する消費者の信頼が高まっていることから、小売段階での堅調な需要につながっている。また、米韓自由貿易協定により、年々米国産牛肉の関税が低下していることも増加要因に挙げている。なお、当該関税は2026年にゼロになる予定である。
 香港向けは、輸出量・額ともに前年を大幅に上回った。香港は、米国産にとって輸出単価の高い市場の一つであるが、著しく成長する可能性を秘めているとして期待が寄せられている。
 台湾向けは、輸出量・額ともに過去最高を記録した。USMEFによると、台湾の冷蔵牛肉市場における米国産のシェアは、72%とアジア諸国の中で最大である。
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豚肉輸出量は過去最高

 同年の豚肉輸出量は、前年比6.0%増の244万9159トンと過去最高を記録し、輸出額は、同9.2%増の64億8600万米ドル(7135億円)と、2014年に次ぐ二番目の高水準となった(図○)。ホルストロム会長は、「海外の顧客からの豚肉需要は非常に高かった。USMEFは、新たな商品開発や消費者の理解醸成などを通じて、米国の食肉業者が顧客ニーズを捉える手助けをしてきた。輸出量が過去最高を更新したことは素晴らしいことだが、輸出額がそれを上回るペースで増加していることが重要である。これは、国際的な豚肉需要が高まり、輸出により大きな利益が見込めることを裏付けている。」とした。
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 輸出先国・地域別に見ると、メキシコ向けは、80万1887トンと過去最高を更新した(表2)。同国への輸出量は、もも肉への需要増を背景に6年連続で過去最高を更新している。輸出額は15億1400万米ドル(1665億円)と、2014年に次いで過去二番目の高水準となった。USMEFは、メキシコの一人当たり豚肉消費量は、直近約10年間で急速に伸びており、この増加は、北米自由貿易協定による無税での貿易のほか、輸入業者や流通業者に対するUSMEFの普及啓発などの取り組みによるものとしている。
 中国・香港向けは、中国の国内生産量が増加したことから、輸出量は同9.0%減となった一方、輸出額は、同0.3%増となった。なお、同年の内臓輸出量は、32万1116トンと最大の輸出先である。
 日本向け輸出量・額は、それぞれ同1.5%増、同4.2%増となった。USMEFによると、CPTPPや日EU経済連携協定が進展する中にあって、日本への市場アクセスに対する米国食肉業界の不安は高まっている。
 韓国向け輸出量・額は、それぞれ同27.9%増、同30.1%増と大幅に増加した。輸出額については、同国での口蹄疫発生により輸出が増加した2011年に次ぐ二番目の高水準である。USMEFによると、同国の豚肉需要は、調理済み食品などへの需要の高まりにより刺激されている。
 南米向けは、コロンビアおよびチリでの需要の高まりや、ペルーでの米国産豚肉の存在感の高まりなどにより、輸出量・額ともに前年を大幅に上回った。USMEFは、南米向けは、ほとんどが加工原料用であるが、今後は加工品の輸出拡大などに取り組むとしている。
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【渡邊 陽介 平成30年2月27日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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