NZ最大手の酪農協であるフォンテラ社と、A1フリー
(注)の牛乳や育児用粉乳などを製造しているa2ミルク社は2月21日、原料供給や製品製造、販売について、包括的戦略的パートナーシップを締結した。
パートナーシップの内容は多岐にわたるが、ポイントは以下の3点である。
- フォンテラ社は、NZ国内における「a2牛乳」ブランドを使用した牛乳の製造・販売権と、A1フリーの高栄養価粉乳(主に東南アジアや中東に輸出される)の原料乳を、a2ミルク社へ一定量供給する権利を獲得する。
- a2ミルク社は、A1フリーの乳製品の製造に当たって、豪州とNZにあるフォンテラ社の処理・包装施設を利用できる。
- フォンテラ社は、A1フリーの乳製品の原料乳を確保できるよう、傘下の酪農家と協力する。
フォンテラ社にとっては、高いブランド訴求力や付加価値を有するA1フリー乳製品の製造・販売権と、原料乳の供給権を確保でき、a2ミルク社としても、フォンテラ社の持つ強固な生産基盤やグローバルな販売網を活用できるという点で、双方にとって中長期的にWin-Winなパートナーシップであるとしている。
(注)A1フリーの牛乳・乳製品
- 牛乳に含まれるたんぱく質であるβカゼインには、βカゼインA1とβカゼインA2があり、どちらをどれだけ含むかは、牛の品種や遺伝形質によって決定するとされる。このうち、βカゼインA2を多く含むまたはβカゼインA2のみを含む(βカゼインA1を含まない(A1フリー))ものは、A2牛乳と呼ばれている。
- 一部の論文などによると、A2牛乳は、子供の自閉症や成人の統合失調症、糖尿病、心疾患を防ぐと言われており、現地消費者の間では一定のプレミアムを有する製品となっている(豪州の小売店では、A2牛乳は、通常の牛乳の2倍程度の価格で販売されている)。
- 一方、オーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)や欧州食品安全機関(EFSA)は、こうした見解について、十分な科学的な証拠はないとしている。