ブラジル産の農畜産物輸入が増加(メキシコ)
メキシコでは近年、米国以外からの農畜産物の輸入を増加させる動きが進展しており、中でもブラジルへの注目が高まっている。
日本、サウジアラビアに次ぐ世界第3位の鶏肉輸入国であるメキシコは、従来、鶏肉輸入量の9割を米国に依存してきた。しかし、ブラジルのメキシコ向け鶏肉輸出認定施設が大幅に増加した2015年11月以降、ブラジル産鶏肉輸入量は、堅調に推移し、2017年は前年比72%増の9万7396トンとなり、シェアは前年の7.2%から12.4%に拡大した(図1)。
このように輸入鶏肉市場の一部を米国から奪ったことでブラジルにとってメキシコは、鶏肉輸出先第10位に浮上している。ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)は2月26日、3月6日〜8日にかけてメキシコのグァダラハラ市で開催される「Come and live Expo ANTAD & Alimentaria M?xico 2018」に、鶏肉パッカー4社と共に出展し、プロモーションを行うと公表しており、メキシコへの輸出拡大に対しては、ブラジル側でも期待が高まっている。
また、メキシコ農産物漁業情報局(SIAP)によると、2016年にはほとんど輸入実績のなかったブラジル産トウモロコシの2017年の輸入量は、9月以降急増し、58万3028トンとなった(図2)。メキシコが南米からトウモロコシを調達する際には、アルゼンチン産とブラジル産のうち、より安価な方を選択しているため、急増の要因は、豊作によるブラジルの供給増が大きいと考えられる。このほか、トウモロコシの大部分を輸入する米国との関係が、北米自由貿易協定(NAFTA)の行方次第で不透明になることに懸念を募らせるメキシコの政府関係者などが、同年ブラジルとアルゼンチンを訪問し、関係強化に努めたことも奏功したとみられる。
2018年は、降雨不足による乾燥が深刻化するアルゼンチンにおいて減産が見込まれていることから、ブラジル産の優位性が高まると予想されている。なお、ブラジル国家地理統計院によると、2018年1月のメキシコ向けトウモロコシ輸出量は、前年の2割に相当する約10万トンとなっており、トウモロコシについても同国向け輸出は増加するとの見方が強い。
【佐藤 宏樹 野田 圭介 平成30年3月5日発】
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