アフリカ豚コレラが野生いのししで初発、養豚業界に緊張(ハンガリー)
国際獣疫事務局(OIE)は4月23日、ハンガリーで初めてアフリカ豚コレラ(ASF:African Swine Fever)の発生が確認されたと発表した。
OIEによると、発生は、北部のヘヴェシュ県(Heves)において野生のいのししで確認された。国内では家畜の移動制限が行われるなど、防疫措置が行われている。
感染源については現在調査中とされているものの、既にASF発生国であるウクライナとルーマニアの国境からは約200キロメートルの距離に位置することから、OIEは、外国人労働者が持ち込んだ食品残さの可能性を示唆している。
2017年以降、近隣のチェコとルーマニアに続いての発生となった。
ASFは、ロシアでの流行以降、徐々に欧州に感染が拡大している。現地の関係者によると、ドイツやデンマークといった主要豚肉生産国への感染拡大の懸念のほか、感染の広がりから防疫対策の難しさを指摘していた。
ポーランド政府は、EU農相理事会の場で、EUがウクライナやベラルーシなどに対し、発生状況の把握や防疫対策に関して支援すべきと主張していた。
EU最大の農業生産者団体である欧州農業組織委員会(COPA)・欧州農業協同組合委員会(COGECA)も、ポーランドの近隣諸国との協調した取り組みを求める要請を支持している。
欧州での発生状況を踏まえ、デンマーク政府は、ドイツとの国境に、野生いのししの侵入を防ぐためのフェンス建設計画を発表。さらに、ドイツの一部の州では、養豚農家から費用を徴収して地元の狩猟者による野生いのししの駆除に乗り出している。英国農業園芸開発公社(AHDB)は、国内の養豚農家に対し、食品の食べ残しを豚に与えないように周知活動を強化している。
欧州委員会は2018年2月1日、ASF対策を含めた動植物の疾病対策として、1億5400万ユーロ(207億9000万円)の予算措置を決定した。
なお、ハンガリーは2017年に43万4580トン(枝肉重量ベース。EU28カ国のシェア1.9%)の豚肉を生産し、うち5万2851トン(製品重量ベース)をEU域外に輸出した。そのうち最大の輸出先である日本向けは2万239トン(EUから日本への総輸入量の6.0%)であった。日本政府は4月24日より、同国からの豚、豚肉等の一時輸入停止措置を講じている。
【調査情報部 平成30年4月26日発】
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