ネオニコチノイドは、てん菜生産においてウイルス性の萎黄病(
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欧州てん菜生産者連盟は、今回の決定を受けて直ちに声明を発表し、「科学的根拠に基づくものではない上、てん菜・砂糖の持続可能な生産に大きな打撃となる」と強く抗議した。また、対象薬剤に代わる有効な薬剤が存在しない現状から、「(代替薬剤の研究開発への支援を含め)影響を緩和する対策を講じるよう要請する」と付け加えた。
一方、現地報道によると、ネオニコチノイドの使用禁止を求めてきた環境保護団体は「2013年に使用が禁止された菜種の現在の収量は、当時と比べ増加している」と語り、てん菜生産に影響しない可能性を示唆する声もある。
EU最大のてん菜生産国であるフランスでは、2016年7月にネオニコチノイドの使用を全面的に禁止する法律がすでに成立しており、2018年9月から施行される予定である。一見、欧州委員会よりも厳しい内容に見えるが、例外規定により2020年7月1日までの使用が認められている。しかし、今回の決定により対象薬剤についてはこの例外規定が適用されないことから、同国の生産者団体は、「ネオニコチノイドの使用が禁止されれば、昆虫を媒介するウイルス性の萎黄病に感染するリスクが高まり、てん菜の収量が平均で12%減少するだろう。てん菜生産に壊滅的な影響を与える決定だ」と反発している。