パプリカの国内消費量が増加し、国内向けのシェアが上昇傾向(韓国)
最終更新日:2018年5月10日
韓国農林畜産食品部(以下「食品部」という)は2018年4月13日、パプリカは、韓国の消費者にとって身近な野菜となりつつあり、消費量は今後も拡大するとの見通しを明らかにした。2016年の韓国のパプリカの1人当たり年間消費量は0.9キログラムと、2006年と比べてここ10年間で約3.2倍に増加している(図1)。
食品部は、消費量の増加要因を次のとおりとしている。まず、(1)最近の健康を重視する消費トレンドから、栄養豊富なパプリカを志向する消費者が増加している。実際に、食品部所管の農林振興庁が消費者に対して実施したアンケートによると、全体の7割弱が、パプリカを購入する理由として「栄養があり健康に良い」と回答した。次に、(2)生産技術の発達やIoT技術を利用したスマートファームの普及により品質が向上したほか、生産性も向上し国内供給量が増加し国内販売価格が低下したことにより消費者が購入し易くなった。さらに、(3)韓国パプリカ生産者自助会(注)によるパプリカ関連レシピの開発・宣伝や、甘みが強く食べやすいミニパプリカが開発されたことなどを挙げている。
食品部は、今後も国内消費量を拡大させるとともに、消費者の満足度を向上させるため、糖度が高く手軽に食べられるミニパプリカの開発の継続、パプリカの食べ方の提案(レシピ開発・PRなど)、学校給食などへの供給拡大などを推進する計画である。
一方、韓国のパプリカの国内生産量の約4割は輸出されており、そのほぼ全量が日本向けとなっている(図2)。1994年にオランダから施設栽培技術を導入した当初は全量が輸出向けであったが、2000年代に入り、前述のとおり栽培技術の向上により生産量が増加したことにより、除々に国内向けのシェアが拡大し、現在は、約6割が国内向けとなっている。
日本で流通しているパプリカの約9割は輸入品であり、国産志向の強い日本において抵抗感少なく消費されている数少ない野菜となっている。韓国産は、日本から近距離にあり、競合国のオランダ産より輸送コストが安いことなどから、圧倒的なシェアを誇っており、2017年の日本のパプリカ輸入量の約8割弱を占めている(図3)。
今のところは日本向けと国内向けは住み分けされており、対日輸出量も毎年増加しているが、好調な国内需要を受け、国内向けが優先されれば対日輸出にも影響を生じる可能性もある。
(注):韓国パプリカ生産者自助会は、パプリカの生産者や栽培企業、農協などが会員となり、会員の拠出金(栽培面積3.3平方メートル当たり1000ウォン(約100円))と政府からの補助金を原資とした資金を造成し、消費者への広報宣伝による消費啓発や、価格低落時の産地廃棄などの事業を実施し、パプリカ生産者への支援を行っている。
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:青沼悠平)
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