穀物の生産見通しを発表(豪州)
豪州農業資源経済科学局(ABARES)は6月12日、2018/19年度(7月〜翌6月)冬作物の生産予測を発表するとともに、2017/18年度夏作物の生産予測の見直しを行った(注)。
(注)豪州の冬作物は、3月〜6月に播種、10月〜翌年2月に収穫を行う。また、夏作物は、10月〜翌年1月に播種、3月〜4月に収穫を行う。本発表の段階では、2018/19年度の冬作物は播種をほぼ終えたところで、2017/18年度の夏作物は収穫を終えたところである。
【冬作物】作付面積は減少も、生産量は前年度並み
冬作物については、作付面積は、主要な穀物生産地域で乾燥した天候が続いていることから、2114万8000ヘクタール(前年度比4.3%減)とわずかに減少する見込みとなった(表1)。しかし、小麦の最大の生産地域である西オーストラリア(WA)州において、向こう3カ月の天候が良好に推移し単収の向上が見込まれることなどから、生産量は、3767万6000トン(同0.4%減)と、ほぼ前年度並みになると見込まれている。
主要品目別に見ると、小麦は、乾燥した天候によりWA州やニューサウスウェールズ(NSW)州で作付面積が減少しているものの、今後、天候の回復が見込まれ、単収が増加することで、生産量は2190万1000トン(同3.1%増)とやや増加する見込みである。大麦については、取引価格の上昇に伴いカノーラやヒヨコマメから転換する農家が多く、作付面積は426万4000ヘクタール(同10.0%増)とかなり増加する見込みとなった。しかし、単収の減少が見込まれることから、生産量は、919万6000トン(同3.0%増)と、わずかな増加にとどまる見込みである。
【夏作物】ソルガム、綿実ともに大幅に増加
夏作物については、作付面積は133万4000ヘクタール(前年度比7.0%増)、生産量は415万8000トン(同13.4%増)とともに前年度をかなり上回った(表2)。しかし、NSW州における米の作付面積および生産量の減少に伴い、前回(2018年2月)からはわずかに下方修正された。
品目別作付面積第1位のソルガムについては、作付面積は53万1000ヘクタール(同44.3%増)、生産量は143万9000トン(同44.8%増)と、収益性の向上に伴い、前年度に綿実などへ転作した生産者が回帰したことなどにより、前年度を大幅に上回った。
品目別作付面積で第2位の綿実については、作付面積は50万ヘクタール(同10.2%減)とかなり減少したものの、かんがいを利用する生産者を中心に単収が増加したことから、生産量は147万7000トン(同17.2%増)と、大幅な増加となった。
【大塚 健太郎 平成30年6月14日発】
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