2017/18年度主要穀物の生産状況等の調査結果(第9回)を公表(ブラジル)
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は6月12日、2017/18年度(10月〜翌9月)第9回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した。当該調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)と、秋植えの冬期作物(第2期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
これによると、主要穀物合計では、作付面積は前年度をわずかに上回ったものの、単収がやや下回ることから、生産量も前年度をやや下回ると見込まれている(表1)。トウモロコシの生産量は、前年度比でかなりの減少が見込まれ、前回報告に引き続き9000万トンを下回る予測となった(図1、2)。一方、大豆の生産量は、作付面積の増加により前年度をやや上回るとしている。
トウモロコシ生産量は、第2期作が前回報告から大きく下方修正
第1期作、前年度比12.1%減の見込み
トウモロコシの生産量を期別に見ると、第1期作は、前年度比12.1%減の2678万7100トンとかなり大きな減少が見込まれている(表2)。これは、前年度の記録的な豊作により、作付期にトウモロコシ価格が下落していたことで、作付けを大豆にシフトした生産者が増えたことに加え、単収が、豊作だった前年度と比較してかなり減少することが主な要因と見られている。
主要生産州(上位5州)のうち、減少率が最大となっている南部のパラナ州では、夏場の冷涼な天候と夜間の気温の低下により、単収が前回報告から1.7ポイント上方修正された。また、同じく南部に位置するサンタカタリーナ州も、同様の理由で上方修正された。
第2期作は主要生産州での干ばつの影響が表面化
第2期作トウモロコシの生産量見込みは、前年度比13.6%減の5821万6200トンと、前回報告の6.6%減(6294万7500トン)から7.0ポイントの下方修正となった(表3)。主要生産州の多くで4〜5月に干ばつが発生し、マットグロッソドスル州の南部やパラナ州では、1カ月以上雨が降らなかった地域もあったという。また、雨が降った地域でも、雨による急激な気温低下が単収の低下を招いているとしている。その結果、生産量は、マットグロッソドスル州では、前回報告より22.2ポイント、パラナ州では7.0ポイントの下方修正となった。
マトピバ地域の生産量は前年度をかなりの程度上回る予測
CONABは、北東部に位置する新興農業開発地域のマトピバ地域におけるトウモロコシ生産量を前年度比9.7%増の682万8800トンと前年をかなりの程度上回ると見込んでいる(表4)。マトピバ地域の最大生産州であるバイーア州では、良好な天候が第1期作を中心に生産量回復を後押しするとし、前回報告から4.0ポイント上方修正された。一方、マラニョン州では、夏期作物である大豆の収穫が雨により遅延したことで、第2期作トウモロコシの播種が遅れたことに加え、育成期の干ばつで単収が減少したことから、第2期作トウモロコシの生産量が大幅に下方修正され、トウモロコシ全体では、前回報告から6.9ポイント下方修正された。
大豆の生産量は過去最高を記録した前年を3.5%上回る予測
大豆生産量は、良好な気候により記録的な豊作となった前年度をさらに3.5%上回る1億1804万8100トンと、過去最高を更新すると見込まれている(表5)。
主要生産州(上位5州)をみると、マットグロッソ州では、前回報告が据え置かれたものの、その他の4州は上方修正された。南部のパラナ州やリオグランデドスル州などでは、干ばつの影響が懸念されたが、被害は見込みよりも少なかったと報告されており、次回以降の上方修正も期待されている。
マトピバ地域の生産量は2年連続で増加、バイーア州は前回報告から5.6ポイント上昇
マトピバ地域の大豆生産量は、前年度比13.4%増の1414万400トンと2年連続で増加が見込まれている(表6)。特に、バイーア州では、良好な天候により単収が大幅に回復したことから、生産量は同10.7%増と、前回報告から5.6ポイント上方修正された。
【佐藤 宏樹 平成30年6月19日発】
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