脱脂粉乳公的在庫の売渡入札、さらに2万トン以上が落札(EU)
欧州委員会は6月22日、21回目(6月19日実施)となる脱脂粉乳公的在庫の売渡入札の結果、2万3532トンが落札されたと公表した。落札数量は、過去最多となった前回よりは減少したものの、前々回以降、大量の落札が続いている。
欧州委員会によると、今回落札したのは、数量の多い順にポーランド、ベルギー、ドイツ、リトアニア、オランダ、アイルランド、フランス、チェコ、フィンランドの企業であった。落札した企業の所在地は、前回とほとんど変わりはない。応札数量は前回からかなり減少したものの、応札数量のうち59.1%が落札され、落札割合は、前々回(同26.2%)、前回(同33.7%)と増加傾向にある。
売渡最低価格は、100キログラム当たり119.50ユーロ(1万5296円)と、前回から4.00ユーロ(512円)上昇した。同価格は、直近のEU平均卸売価格(6月11日の週平均:153.66ユーロ(1万9668円))より22.2%、公的買入価格(169.80ユーロ(2万1734円))より29.6%低いものの、3回連続の上昇となった。前々回を除けば、最高価格が140ユーロまで到達したのは、13回目の入札以来8カ月ぶりとなる。
欧州委員会は、今回の結果は、市場価格の上昇が反映されたものとみている。EU平均卸売価格は、3月19日の週に底(同131.70ユーロ(1万6858円))を打ち、その後3カ月間上昇傾向にある。
なお、毎年3月から9月の間には公的買い入れが実施されている。しかしながら、2018年3月および4月については、各国から買入申請があるものの、欧州委員会は大量の在庫を抱える中、売渡入札を実施していることから、申請を不落とし、買い入れを行っていない。また、直近の5月および6月については申請がなかった。
欧州委員会のホーガン欧州委員(農業農村開発担当)は6月18日、ルクセンブルグで開催された農業理事会にて、世界的に需要が高まっている現在の乳製品市況を鑑み、EUの乳製品部門は市場介入の必要のない状況にあると述べた。
現地報道などによると、次回以降、さらに売渡しが進むという見方もあり、業界関係者の関心は高まっている。次回の売渡入札は7月17日に予定されている。
【調査情報部 平成30年6月28日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際情報グループ)
Tel:03-3583-8527