欧州委員会は8月1日、2018/19穀物年度開始から第5週目まで(注)の米国産大豆の輸入量が、前年同期から283%増加したと発表した。
注:1週間を月曜日から日曜日としているため、2018/19年度の第1週目は2018年7月1日(日)のみであり、第5週目までとは、7月1日(日)から7月29日(日)の29日間を指す。2017/18年度の第5週目までとは、2017年7月1日(土)から7月30日(日)までの30日間を指す。
欧州委員会によると、同期間の米国産大豆の輸入量は、前年同期を大幅に上回り283%増の35万9305トンとなった。全輸入量に占める米国産の比率も前年同期の8.7%から36.5%に大きく上昇した。欧州委員会のユンカー委員長はプレスリリースの中で、先月25日の米国との首脳会談の共同声明で示していた米国産大豆の輸入拡大の意向について、「現実のものとなっている」とし、「これは、EUと米国の市民にとってウィンウィンの状況である」としている。
また、同期間の米国産大豆油かすの輸入量は、前年同期比30倍以上となる18万4663トンとなった。米国産の比率も前年同期の0.3%から13.4%に大きく上昇した。
ホーガン農業・農村開発担当欧州委員は、「EUと米国は長年にわたり協力関係にあり、さらに貿易関係を強化する余地がある」とし、「EUと米国の農業が共存することでより多くの利益につながる」とした。EUは、家畜飼料のたんぱく質源として多くの大豆や大豆油かすを必要としているものの、自ら賄えないため、年間約3000万トンを輸入している。
欧州委員会は、EUと米国の共同声明のフォローアップとして、2カ月ごとに米国産大豆のEU輸入状況についてワーキンググループに報告していくとしており、本プレスリリースは、その第1回目となっている。
なお、現在、米国産大豆は、国際市場において価格競争力が高まっており、EUの輸入業者にとって魅力的なものとなっている。この背景として、米国・中国間の報復関税の応酬により、中国が米国産大豆からブラジル産などの南米産にシフトしていることが挙げられる。