オランダの農協系金融機関ラボバンクは7月25日、2017年の世界主要乳業メーカーの売上高ランキング上位20社を発表した。
上位20社は、3年連続で同じ顔ぶれとなったが、第2位のラクタリスと第3位のダノン、第5位のフォンテラと第6位のフリースランドカンピーナの順位が前年から入れ替わるなどの変動があった。
第2位に上がったラクタリスは、ダノンの米国の子会社ストーニーフィールド(Stonyfield)、米国のシギーズ(Siggi’s)を買収するなどした一方、第3位に下がったダノンは、サウジアラビアのアル・サフィ・ダノン(Al Safi Danon)の売却、日本のヤクルトの株式の一部売却なども行った。第8位のカナダ最大手のサプートは、豪州最大手のマレーゴールバンを買収するなどし、前年から売上高を28.6%増加させ、順位を1つ上げた。同増加率は、上位20社の中で最大である。
その他、中国の2企業が前年に続き上位10社までに入り、日本企業では、明治が前年から順位を1つ下げたものの、第15位として唯一上位20社に入った。
上位20社の2017年の総売上高は、米ドル建てで前年比7.2%増と3年ぶりに増加に転じた。2016年の売上高が20社中13社で前年割れであったのに対し、2017年に前年割れとなったのはわずか3社であった。ラボバンクは、増加の要因として、世界的な乳製品価格の上昇のほか、積極的な合併・買収(M&A)が行われたことを挙げている。同年のM&A件数は、2016年の81件から5割増となる127件となった。第7位のアーラフーズがアルゼンチンのサンコール(SanCor)を買収するなど、国際的なM&Aも進展している。
ラボバンクは、今後の数十年間の酪農市場について、人口や所得の増加、都市化などが進むことにより、生産量、市場規模はともに、少なくとも30%増加するであろうと予測している。さらに活発化するM&Aも今後の乳業界の成長のけん引役になるとしている。M&Aについては、2018年の1月から6月までの間ですでに62件が行われている。これまで同様、国際的な買収が進むも、同数の半分は欧州内で行われている。
また、ダノンが米国のホワイトウェーブ・フーズ(WhiteWave Foods)を買収し、植物由来の代替品を重点的に扱うこととしたことや、乳たんぱく質を生乳から抽出せずに培養するようなバイオテクノロジーの発達による技術革新に関心が高まっているとした。これらの取扱量は小規模であり、始まったばかりであるものの成長しており、ラボバンクは、これらに関連するM&Aの件数が増加しているとみている。
さらにラボバンクは、成長する中国企業について、さらに国際市場シェアを高めるため、非中国企業の買収などを進展させていく必要があるだろうとしている。