米国農務省、日本の牛肉・豚肉の輸入量の見込みを公表(米国)
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は8月6日、日本の食肉需給に関する報告書「Gain report:Japan Livestock Products Annual」を公表した。これによると、牛肉および豚肉の国内生産量が横ばいである中、消費需要が拡大することを背景に、今年度、来年度ともに食肉輸入量が増加すると見込んでいる。
牛肉輸入量については、2018年は前年比2.2%増の83万5000トン(枝肉重量ベース、以下同様)見込まれている。2019年にはさらに増加し、84万5000トンと予想される。豚肉輸入量についても同様に、2018年は、同1.9%増の150万5000トン、2019年は151万トンと予想されている。
日本の牛肉需要は堅調
2018年の牛肉輸入は、冷蔵牛肉は増加傾向で推移しており、冷凍牛肉はセーフガードの発動により、年初は減速傾向にあったが、3月31日のセーフガードの失効に伴い関税率が50%から38.5%に戻ったことにより、4月からは上昇基調にある。それ以降、米国の牛肉輸出企業は、市場シェアの一部を取り戻そうとしている。
しかし、豪州産牛肉は、日豪EPAの下で関税が引き下げられているため、米国産牛肉に比べて優位を保っている。2018年4月1日から、豪州の冷蔵、冷凍牛肉への関税率は、それぞれ29.3%および26.9%に低下した。
国内の牛肉生産量の急増が望めない中、旺盛な消費需要に応えるため、輸入牛肉の購入量を増やしたい小売業者や食品サービス業者が存在することから、日本の輸入量は引き続き増加するとみられている。
豚肉需要の増加
2018年1月〜5月の日本の冷蔵豚肉輸入量は、前年同期比5%増の21万3358トンとなった。このうち、米国産は同1%減の11万1549トン(52%)を占め、カナダ産は同14%増の9万5926トン(45%)を占めた。 カナダ産の冷蔵豚肉が増加した背景は、2015年の西海岸港湾ストライキのような供給ショックに対応するために、輸入業者が調達先を多様化しようとしたことが考えられる。
また、2018年1月〜5月における日本の冷凍豚肉の輸入量は、28万1520トンと、前年同期比2.6%減となった。このうち、デンマーク産が6万986トン(22%)を占めた。冷凍豚肉部門では、ハム・ソーセージ加工業者向けの価格競争が依然として激しい状況にある。
2018年の後半には、主に小売りにおける米国産とカナダ産冷蔵豚肉の需要により、日本の豚肉の輸入が引き続き増加すると予測されている。
【調査情報部 平成30年8月22日発】
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