2018年のブロイラー出荷羽数増加見通しもサバ州でAI発生(マレーシア)
マレーシア農業・農業関連産業省獣医サービス局はこのほど、2017年のブロイラー産業の現状と2018年の見通しに関する調査結果を公表した。同調査は、2017年6〜8月に半島マレーシア(マレーシアのうちボルネオ島のサラワク州、サバ州を除く部分)の種鶏場20社(うちインテグレーター6社)88農場を対象に実施された。2016年のマレーシアの肉用鶏飼養羽数は2億8967万羽となっており、このうち半島マレーシアは全体の87%を占める。マレーシアの肉用鶏とは、ブロイラー、地鶏、採卵鶏の廃鶏などを指し、このうちブロイラーが8割強を占める。
これによると、2017年の種鶏ひなの導入羽数は、前年比9.7%減の676万羽と減少した(表1)。この要因としては、同年2月に半島マレーシアの北東部に位置するケランタン州で高病原性鳥インフルエンザ(AI)が発生し、中国、インドネシア、日本などが一時的に家きん肉の輸入を制限したことや飼料原料価格が高騰したことが挙げられる。
種鶏の構成は、飼料効率の良いコッブと強健で発育が良いロスの2種で全体の92%を占める。
同年のブロイラー用素ひなの生産羽数は8億752万羽(同3.8%減)と、種鶏ひなの導入羽数の減少を受けて減少した。ブロイラーの出荷羽数は7億6714万羽(同6.3%減)で、このうち7%が生体でシンガポールなどに輸出されている。
2017年のブロイラーの農家出荷価格は、生体重1キログラム当たり3.7〜6.1リンギット(101〜168円)の範囲で、年平均価格は5.02リンギット(138円)であった。
2018年の見通しについては、2017年7月にAIの清浄化を制限して以降発生がないことや、家きん肉は食肉の中で最も安価かつ宗教的な制約が少ないため、1人当たり消費量は増加傾向で推移しており(表2)、ブロイラー用素ひな生産羽数および出荷羽数は増加するとしている。
一方で、マレーシア農業・農業関連産業省獣医サービス局は2018年8月6日、サバ州でAIが発生したことを国際獣疫事務局(OIE)に報告しており、これを受け日本の農林水産省は7日、同国からの家きん肉の一時停止措置を講じており、今後の鶏肉生産への影響が懸念される。
【青沼悠平 平成30年8月30日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:青沼悠平)
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