韓国農林畜産食品部(以下「食品部」という)は9月18日、所管機関である農林畜産検疫本部が、2018年6月8日から9月3日にかけて1627カ所の養鶏場を対象に高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)に対する防疫措置を実施しているか否かの検査を行ったことを明らかにした。
この結果、軽微な改善指導を受けた養鶏場は243カ所、消毒又は防疫設備の未設置など畜産業の許可・登録基準(注)に満たない養鶏場は61カ所で、農林畜産検疫本部は当該養鶏場に対し、2018年10月までに是正するように指示した。この指示に従わない者に対しては、罰金など金銭的な行政処分も行っており、それでもなお改善が見られない場合は、罰金額が当初の50万ウォン(5万円:1ウォン=0.10円)から、200万ウォン(20万円)、300万ウォン(30万円)といったように段階的に引き上げられる。これまでに6カ所の養鶏場が罰金を受けている。
食品部は全ての養鶏場に対し、10月の鳥インフルエンザ特別防疫期間前までに消毒・防疫施設における不備がないかもう一度自己点検するよう指示したことを明らかにした。
韓国では、ここ数年継続してHPAIに感染した家きんが確認されており、例年11月〜翌年5月頃、特に11月〜翌年1月にかけて発生することが多い。2016年11月〜2017年5月は、記録的に感染が拡大し、発生件数は383件、3787万羽が殺処分されている。この期間は、HAPIにより鶏卵の供給量が減少したため小売価格が上昇し、量販店などは1日1人当たりの購入数量を制限するなどの対策を講じたり、政府が、緊急的な無税枠を設け、米国、デンマーク、オランダ、タイなどからの鶏卵や鶏卵調製品の輸入を促進したりした。鶏肉についても、政府備蓄を実需者に供給することにより、小売価格の早期安定化を図るとともに、民間在庫も可能な限り市場に供給するよう誘導した。
2017年11月〜2018年3月にかけても654万羽の家きんが殺処分されている。食品部は、HPAIの発生が多くなる11月を迎えるに当たり、家きん農家一人一人の防疫意識を高め、HPAIの発生を最小限に留めたい考えだ。
(注)畜産業許可・登録基準では防疫対策として、車両消毒、養鶏場出入りの際の衣服の交換や靴底の消毒、訪問者の記帳、鶏舎やその設備の消毒を求めている。また、養鶏場出入口の遮断設備、薬品などの物品管理倉庫の設置、ネズミ、野鳥などの遮断ネットを設置することとなっている。