ロシアがブラジルからの牛肉および豚肉の輸入を再開(ブラジル)
ブラジル農牧食糧供給省は10月31日、ロシア連邦農業省連邦動植物検疫監督局(Rosselkhoznadzor)から、ブラジルからの牛肉および豚肉の輸入を11月1日付けで再開する公式声明を受け取ったと発表した。ロシアは、ブラジルから輸入された牛肉および豚肉の一部から、ロシア側が禁止している成長促進剤ラクトパミンが検出されたとして、昨年12月1日からブラジル産牛肉および豚肉の輸入を停止していた。なお、今回輸出停止が解除されたのは以下の9工場となっている。
公式声明では、「ブラジル農牧防衛局によるブラジル企業の製造・販売条件遵守状況の保証内容を分析した結果、ブラジルの企業への制限を解除することが出来ると判断した」とされている。
ブラジルにとってロシアは主要畜産物輸出先であり、2017年1〜9月の輸出量を見ると、牛肉が第3位、豚肉は第1位の輸出先だった。輸出が停止された直後、ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)は、当機構の取材に対し、「冬場のロシア向け輸出は、現地港が凍結するため、例年減少することから、春先までに再開されれば大きな問題にはならないだろう」と楽観視していたものの、交渉は難航し、約11カ月にわたって輸出が停止されることになった。その間の輸出量を見ると、特に豚肉産業において大きな影響が出ており、香港向け、中国向けなどで代替していたものの、本年9月までの輸出量は、前年同期比12.5%減と前年をかなり大きく下回っている。
今回の再開について、業界関係者からは歓迎の声が上がっており、ABPAのフランシスコ・トゥーラ会長は、「主要輸出相手国であるロシア向けの再開は非常に喜ばしい」とし、同リカルド・サンチン副会長は、「世界でアフリカ豚コレラが猛威を振るっている中、未だ発生していないブラジルの強みを活かして、食品安全保障の観点から、発生国と良好な関係を築ける可能性がある」と語った。
【佐藤 宏樹 平成30年11月1日発】
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